★★★★ 2023年9月25日(月) プラネットプラスワン
映画のなかでの設定10,000頭はともかく1,000や2,000はいそうな牛の大群を歩かせ渡河させ暴走させる撮影の労力たるやとんでもないものだったろうと思わせる。まあ、それだけでも見る価値はあると思いました。
親子の或いは世代間の確執を描いたもの、と言いたいが、どうもこのジョン・ウェインの親父のゴーマンさが一貫性・論理性を欠いていて、それがホークス的な価値観なんだろうが、さすがにちょっとどうか思います。
キャトルドライブの目的地選定、脱落・離脱者への対応は完全にミスっていて、考え方の違いとかでは済まない。だから、若者たちが反発して離反するのは当然に思える。それを逆恨みして「ぶっ殺してやる」とか、ええ加減にせえやおっさんです。まあ、そのぶっ殺すもどこまで本気かわからんのですが。ラストは案の定ガハハと笑ってお開きですわ。撃たれたジョン・アイアランドは立つ瀬がないよ。
まあ、そうは言っても、全般に先述の牛の大群がひしめき合う中でのドラマは満足感十分で、ジョン・ウェインとウォルター・ブレナンの掛け合いとかしみじみ良い。モンゴメリー・クリフトのデビュー作らしいが、未だひねくれてなく男の筋を通してナイス。アイアランドもいいポジションで彼をサポートしている。
偏固な老兵去るべしのモラリズムが済し崩されめでたしとなる帰結は時代の要請だとしても疑問だが、ドルーが岩盤を崩す場が一応は効いている。キャトルドライブの壮大な描写がとにかく圧倒的だし毎度のブレナンと新味なアイアランドの配置も良。(cinemascape)