★★★ 2022年10月11日(火) シネリーブル梅田2
元女子プロレスラーが地下アイドル目指すがパッとしなくてSMの女王様になる。という雇用の流動化が求められる現在の我が日本に於いてキャッチーな題材であります。嘘ですけど。
だが、このミサ・ザ・キラーというリングネーム&アイドル名のこの子、ふっくらタイプでどうみてもSM女王様という柄じゃない。それが在り来たりのSMものとの差別化を成功させている。スポーツ会系のノリで元気が良くて裏表なく見てて気持ちいい。
ただ、先輩女王様から、まずMの気持ちを知りなさいと言われて調教されるのだが、どうもね、小沼勝の映画のような被虐的な苦悶の色気ってわけにはいきませんわな。あそこに電動バイブを入れられて街中を歩かされるのだが、お腹が痛くて苦しんでるようにしか見えません。
新人が先輩女王様を蹴落として伸しあがっていく。この構図は「一条さゆり 濡れた欲情」へのオマージュとも言えるのですが、ならあの帰結はなんじゃらほいだ。骨太な女勃興記としてど真ん中から押して欲しかった。
高島政伸が企画に携わり、本人役でも登場するが余興の域を出てない。お前ももっと塗れてみせろよと言いたい。
女子レスラーの地下アイドルで芽が出ずSM女王目指すがどれも柄じゃない感濃厚。なのに元気100倍前向きな彼女。被加虐の欠片もなくバイブお仕置きも腹痛の苦悶めくのがご愛嬌。ただ『濡れた欲情』へのオマージュとも取れる展開が腰砕けになるのはどうか。(cinemascape)