男の痰壺

映画の感想中心です

過去日記 2010①

AMETHYST SUNRAY
しばたはつみが亡くなった。
彼女のファンだったわけではない。
ただ、「AMETHYST SUNRAY」という曲が20年以上にわたり俺の脳裏にこびりついているのだ。
これは名曲なのではなかろうか。
確か出だしはこうだ…
「いま、日が昇る~アメジストの輝きが~」
なぜ、この歌を覚えたかというと
1980年の映画「地震列島」のエンドタイトルで流れる主題歌だったのです。
はっきり言って映画は駄作だった。
当時、映画館でバイトしてた俺は、毎晩のように映写室で後片付けしながら「地震列島」の最終回の上映のスクリーンに見入っていた。
この曲は、映画にもったいないスケールで愛を歌い上げる。
薄暗い映写室で滂沱の涙を流し続ける学生時代の俺。
「AMETHYST SUNRAY」はそんな切ない思いと同期し俺の中でしばたはつみの歌声はリフレインし続ける。
2010年3月30日 (火)
「安全第一」信仰が招く腐敗
あ~イラつくわ、亀井静香
俺は小泉純一郎はヘドでるくらい嫌いだったけど、
郵政って言うか、郵貯簡保は民営化すべきだと思ってます、やっぱ。
アメリカの謀略だどうのこうの言ったってさ、ズルいっしょ…1人だけ国の庇護化でチンタラやってて金集めちゃうってのは。
まあ、そこに金預ける野郎も野郎なんだけどさ。
ロクなもんじゃないっすよ、無能な奴に金持たせたら。
馬鹿な政治家の言うがままに国債買って無駄遣いにせっせと金流しこんでさ。
論理すりかえちゃって、田舎の爺ちゃん婆ちゃんは郵貯しか近くに預けるとこないだと。

思うのだ。
この日本って国は1回吹っ飛んだ方が身のためじゃないかって。
吹っ飛んで国債は紙くずになって、郵便貯金はデフォルトされる。
何万人という田舎の爺ちゃん婆ちゃんが無一文になって野垂れ死にする。
ハイパーインフレでタンス預金の万札は紙くず同然。
銀行預金も同じ道。
一方で、土地、株式はインフレヘッジが働き大暴騰する。

そういうクラッシュのあとに育つ世代は無知蒙昧な依頼心とは無縁となるだろう。

たまには破壊と再構築がないと腐っていくのだ。
風もなく水の流れのない沼の水には腐敗物が沈澱し汚泥化する。
2010年3月25日 (木)
消費され消却される煌めく片々
読み終わった文庫本を本屋の紙カバー付きのまま片っ端からパソコンの横に積み上げて2年くらいか。
捨てると脅されて、カバーを外して中身を改めて見た。
以下は忘備録。

「柔らかな頬」桐野夏生「セル」スティーヴン・キング「天使に見捨てられた夜」桐野夏生「顔に降りかかる雨」桐野夏生「置き去りにされる人々 すべての男は消耗品である Vol.7」村上龍「水の眠り灰の夢」桐野夏生ローズ・ガーデン桐野夏生「誰か」宮部みゆき「ダーク」桐野夏生「沙高樓奇樓」浅田次郎「OUT」桐野夏生「凍える牙」乃南アサ「玉蘭」桐野夏生「トム・ゴードンに恋した少女」スティーヴン・キング魂萌え!桐野夏生「夢は荒れ地を」船戸与一「アンボス・ムンドス」桐野夏生「「わたしは甘えてるのでしょうか?」27歳・OL」村上龍残虐記桐野夏生「君はフィクション」中島らも「グロテスク」桐野夏生「いかしたバンドもいる街で」スティーヴン・キングファイアボール・ブルース」桐野夏生ファイアボール・ブルース2」桐野夏生「あかんべえ」宮部みゆき「光源」桐野夏生グランド・フィナーレ阿部和重「白蛇教異端審問」桐野夏生「半島を出よ」村上龍「リアルワールド」桐野夏生「五郎治殿御始末」浅田次郎「I'm sorry, mama」桐野夏生下流志向」内田樹「冒険の国」桐野夏生「ドランのキャデラック」スティーヴン・キング「錆びる心」桐野夏生ハバナ・モード すべての男は消耗品である Vol.8」村上龍ジオラマ桐野夏生「誰も書けなかった日本のタブー」西岡研介鈴木智彦他「日暮らし」宮部みゆき「八月の路上に捨てる」伊藤たかみ「月島慕情」浅田次郎「きれぎれ」町田康「暗鬼」乃南アサ通天閣西加奈子「でっちあげ」福田ますみ「しずく」西加奈子「笑う山崎」花村萬月虐殺器官伊藤計劃

改めて桐野夏生にはまっていた。
数冊を置いて他は処分する。
数冊とは「柔らかな頬」桐野夏生「ダーク」桐野夏生「トム・ゴードンに恋した少女」スティーヴン・キング「あかんべえ」宮部みゆき「半島を出よ」村上龍通天閣西加奈子
2010年3月14日 (日)
言ってみたい
酒の力を借りて素面じゃあとても言えない一度言ってみたかった台詞を言ってみたいと思います。

・「お前ら10人まとめて一生面倒みたる」
・「蓮見重彦?ああ、あの飲み屋で口論なってぐーの音もでんよう叩きのめしたことある親爺な」
・「実は年末ジャンボ当たっとてん。3億ぜーんぶやる。その代わり俺を1人にして夢を追わせてくれ」
・「最近恋してるかって?ふっ…少年の心を忘れたら男はおしまいだぜ」
・「俺が昔書いたシナリオを映画化したい?製作費100億のバジェットなら考えてやるぜ」
・「相場で儲ける極意だと?そんなんは人に言っちまった段階で極意でもなんでもなくなっちまうのさ。成功ってのは自分の手で掴み取るもんだぜベイビー!」
・「何故、せっかくやめた煙草を又吸い出したかって?狭い道しか行きたくないのさ俺って男は」
・「どうやって1ヶ月で20キロも痩せたか聞きたいだと?強い意志だけじゃん。それ以外に何かあるか?」
・「橋下知事が会いたがってる?俺の持論の大阪独立国家案に命張る気あるか聞いてからやな」
・「もう1カ月しか命がもたないだと?上等だぜ。人生、やり残したことなんて何一つないさ」

ああ…言ってみてえ。
2010年3月9日 (火)
沈没への誘い
先週の金曜日に本屋で「2014年日本国破産」(浅井隆著)という本を立ち読みした。
日本の財政赤字についてはアホほど本が出てるが、こいつは今までで最もピンとくる内容であった。
何故なら、こに本では、日本が財政破綻するのはもはや不可避と明確に書いてあるから。

タイタニック号の沈没になぞらえた破綻過程。
何かにぶつかったような気がしたが、気にするな~とドンチャン騒ぎのパーティ会場。
その間、船底では怒涛の勢いで浸水がすすんでる。
何かちょっと傾いてない?…気にしない~!とドンチャンドンチャン。
あれ、物転がりだしたよ。甲板出てみよか…。
と思ったときは遅かった。一気に垂直状態に屹立した船体は哀れ海の中に轟音とともに沈んでいくのであった。

破綻の過程で、あるいは破綻後に何が起こるか。
金利の劇的上昇のあとにハイパーインフレが発生。
米国債売却を阻止するためIMFが介入、預貯金は凍結され没収される。

であるなら、悪くもないやん。
なぜって俺は預貯金ゼロやし、一方で住宅ローンはアホほど残ってる。
借金はインフレで目減りし、お金もってる人たちは没収される。

でも、生活は激変するんやろな…。
仕事を失くし、芋で生活する日々が到来する。
悠長に映画みてるなんて今だけやね。

というわけで、土曜日。
映画三昧の道行に赴く。
TOHOシネマズ梅田で「ハート・ロッカー
梅田ブルク7で「人の砂漠」
天六ユウラク座で「奴隷船」
とまあ、「ハート・ロッカー」はともかく、あとの2本は気が滅入った。
俺は、愛染恭子もSMもそんなに関心はなかったが「奴隷船」には多くの団塊世代と思しき親爺どもが馳せ参じていた。

映画が終わって俺は席を立つ。
そそくさと映画館の暗闇から出ていく親爺ども。
その多くの疲れ切った背中を見つめながら俺は涙する。
「お疲れ様です、先輩方。ともに奈落に落ちましょうぞ!がーはっはっは!」
2010年3月8日 (月)
沈没前夜
赤字国債だけではなく地方の抱える債務残高を考慮すると総計1300兆円になるという。
外国と違って日本は個人金融資産があるから大丈夫…とかほざいてる奴は即刻死すべきではなかろうか。
鳩山・小沢の政治と金問題とやらで、地方選挙で自民が勝った。
しかし、この国の問題を解消できる策はだーれも提示できない。
少なくとも明快に目の前の靄が晴れるような案なんて聞いたこともない。
消費税を数%いじくったって最早時期遅し。
焼け石に水だろう。
だからと言って、大幅にアップすれば購買意欲が萎え減収になるパラドックス

提唱しよう。
①政府は亡国の危機を真摯に訴え、暫定的に資産管理国家体制を取れ。
②赤字解消までの限定措置として相続税贈与税率を100%にせよ。
③同時に個人資産の海外への移転を一切禁止せよ。
④資産課税からの税収は全て医療・介護・教育の3分野に再配分せよ。
所得税累進課税を廃止し定率課税に移行、一方、高額商品の消費税を0%にせよ。
法人税率を大幅に引き下げ日本企業の国内回帰と外国企業の日本進出を促進せよ。
⑦あらゆる社会福祉関係の違法搾取、脱税、公務員の不労受給など他の納税者への背信行為は最高極刑の厳罰をもって対処せよ。

滅びゆく祖国日本のため、金持ちの老人とその相続人とズルする奴は泣きなさい…ってことですね。
多分、それくらいせんと間に合わないっす。
ただ、そんなこと言って選挙したら確実に負けるので、裏切りものとか言われても選挙後にゴリ押しでやるのだ。
鳩山総理のお母さん証人喚問せえとかアホなことほざいとる暇あるなら…ね。

俺の脳裏には今でも郷愁のように浮かぶ1人の男がいる。
70年代、沈没しゆく日本列島に於いて日本国民の行く末に涙を流し続けた総理大臣。
丹波哲郎
今こそ彼のような熱い血の涙を流せる男が現れて欲しい。
2010年2月24日 (水)
Heartbreaker
Heartbreaker

        作詞 悪悠
        作曲 包今日兵
        唄   ライオネル今林

いつの日にか かなう夢もある
そんな甘言ぬらりひょん
歴史の彼方の沈没船の
嘆きを胸に振り返ろう
ああ…俺はハートブレイカ
夢も希望も失った

いついつまでも 永遠に幸あれ
そんな戯言つぶやいても
ボディブローの玉ころがし
懺悔の値打もありゃしない
ああ…俺はハートブレイカ
夢も希望もあるもんか

かつての日々の こんにゃく芋
とんかつ三昧コレステロール
通天閣の避雷針
五臓六腑の腸捻転
ああ…俺はハートブレイカ
夢と希望は高望み
2010年2月17日 (水)
現実のリアルとシンクロする映画の虚構
20代の前半であったから、今から20数年前のことだ。
ある週末、大阪はミナミ、道頓堀の居酒屋で学生時代の連れと4人で飲んでいた。
10時ごろになり、帰ろかと店を出たものの、帰ってもしゃあないしとも思いつつ繁華街の裏路地を4人でダラダラ歩いていたら、横にスッと白タクが徐行で寄ってきてた。
スルスルと運転席の窓が下り、運転手が声をかけてきた。
「兄ちゃんら、どこ行くん」
「何なん」
「安くやれるとこあんねんけど」
「…」
「スナックのお姉ちゃんがバイトでしてんねん」
俺たちは足を止めた。
明らかに胡散臭いと思う一方で「スナックの姉ちゃん」という微妙なリアリティに惹かれるものがあったのだろう。
値段とか交渉してる間に1人は「帰る」と言って帰ったが、残った3人は白タクに乗り込んだ。
グルグルとどこ走ってるのかもわからん状態で連れまわされ降ろされたのが、ありえんくらいボロいラブホの前で、俺ら3人は階段を昇って2階の部屋に1人ずつ入れらたのだ。

俺は一通り部屋を見渡しベッドに腰掛けて服を脱いだ。
パンツ1丁でバスローブを着て、今か今かと待った。
正直、後悔の念が強く、しかし、前金で払ってるので速攻でやって帰ろと思っていた。
だが、10分が経ち、20分が経つも待ち人来たらず。
シーンと静けさだけが支配する1室で待つこと30分。
かすかに廊下をコツコツと歩く足音が近づいてきた。
「来たー!」
しかし、足音は隣の部屋の前で立ち止まり、ドアを開ける音が…。
あいつのとこ来たんやし続けて俺のとこにも…と思い、おもむろに煙草に火を点け余裕のポーズでベッドに横たわり耳をそばだてる。
だが、10分ほどしても誰も来ない。
隣室から微かに聞こえるベッドのきしみ音と男と女の話声。
俺は壁に近づいてみたが、何を言ってるかまではわからない。
20分が経ち、30分が経った。
誰も来ない。
すると、隣室のドアが開く音がし、足音が廊下に出た。
そして、その音が俺の部屋の前まで来て止まった。
「う、嘘やろ…1人で3人順番に回るってか?…俺いややー!あいつの後なんて」
と思う間もなくドアがギギーと音を立てて開かれた。
愛想もくそもない痩せぎすの年増ババアが入ってきた。
「さ、最悪や…」
そのあとのことは書きたくない。

数年後、俺はコーエン兄弟の「バートン・フィンク」という映画を見た。
とんでもない傑作だと思った。
しかし、思うのだ。あのラブホでの1夜の経験がなかったら、この映画の主人公のホテルの隣り部屋への偏執的なまでの過敏な反応は理解できなかったろうと…。

以前に書いた「日常における映画的記憶」と題した「パッション」と「ポセイドン・アドベンチャー」に続き表題を変え「バートン・フィンク」をお届けした。
次回は「グエムル 漢江の怪物」の予定である。
2010年2月15日 (月)
扇動される世論
小沢一郎鳩山由紀夫も「政治と金」の問題とやらでとやかく言われてる。
自民党とかの野党が言うのは仕方ないとしても、TV・新聞とかのマスコミの一本調子の論調と、それに扇動された世論とかいうものにはゲンナリ

俺は、鳩山由紀夫の件は取り沙汰すること自体ナンセンスだと思うし、小沢一郎の政治資金問題も、偉そうにどうこう言う連中は信用したくない。

確かに、金に汚い政治家もいるだろうが、本当に金に汚いのは誰かという問いには、残念ながら「有権者」と答えるのが正答だと思う。
もっと言えば、人間というものは金に汚いという業を背負って生きるしかないものなのだと思う。
金に汚い有権者に選ばれる政治家は清廉潔白では務まらない。
みんな。見返りを期待してるのだから。

こういう問題は、多少つついても、本質的部分はグレーゾーンに置いておいていいのだ。
て言うか、そうするしかないんだろうと思うのだ。

最近、「でっちあげ」という本を読んだ。
数年前に福岡で「史上最悪の殺人教師」とマスメディアに血祭りにされた教師の冤罪ルポで、モンスターペアレント夫婦の狂的クレーマーキャラに戦慄した(映画「黒い家」の大竹しのぶを思い出した)一方、
ここで、描かれたマスメディアの本質にはうんざりさせられた。

「小沢やめろ」コールが世論の70%を占める。
気持悪いと思うし、危険とさえ思う。
少なくとも、俺は扇動されたくない。
2010年2月8日 (月)
酒断ち
年頭に立てた誓い…「腹へこます」
今までの50年近い人生。
言うだけ番長の名を欲しいままにし、有言不実行を旨として生きさらばえて参りましたが、いつまでもそんなんじゃどうしようもない。
…ということで、元旦から腹筋を始めたのである。
しかし、20年近く腹筋運動なんてしたことなく、最初からMAX状態では続くわけないので、謙虚に元旦に10回やりました。
翌日は11回、3日は12回と1日1回増やし続ければ、無理なく年末には400回近くの腹筋運動を日々こなし、割れた筋肉の鋼の如き筋からは、シュウシュウと発汗した汗が水蒸気となって煙り立つ。
まあ、そんなイメージで日々励んでおったのですが、15日くらいに体が変調をきたした。
腰が半端なく痛みだし、寝ても覚めても痛くて仕方ない。
仕事帰りに飲んだとき、連れにそのこと言うと
「腹筋って、どんな風にやってはります?」
「どんなんって…」
「まさか、床に背中着けた状態から90度起こしてはりません?」
「いやあ、100度はいってる思う」
「それですわ、腰いわしはったん。背中浮かして20度~30度起こせば充分で、それ以上やったら腰痛めます。そんなん常識ですよ」
「まじ?膝も伸ばしてんねんけど…それもあかんの?」
「ブーっす」
腹筋やり始めたときに、子供が来て
「脚曲げてせんとあかんのにーっ!」
とか言ってきたのに
「そんなヤワやってたらどうしようもないんじゃ!アホ」
と言っていた自分が苦々しく想起される。
とにかく、腰限界で腹筋を断念した。
「こうなったら奥の手、断酒じゃ!」
酒やめれば体重は間違いなく減ることは何となくわかってる。
てことで5日間断酒しましたが、
「週末やし、自分へのご褒美や」とか
「今日は仕事切り抜けたし、特例や」とか
完璧な断酒は難しい。
30年近く、1日50本吸っていた煙草を、あっさりやめた俺ならば
酒断ちくらいやれんはずないとは思うのだが…。
でも、そんなんできても、何がおもろいんやろ…とも思うのだ。
2010年1月29日 (金)
ずるむけの耐えられない痛さ ~イタイぜ!番長!~
先週の月曜日に買った靴が合わず足の踵の皮がずるむけになった。
それも又ありがたいことだ…とか何とか言ってみたものの、
数日後、最早、精神に異常をきたしそうになり又新たな靴を買った。
別の靴屋で又も2,000円の靴を買い、
「あ、うう…ぐっ…」とうめきつつNEW革靴を履くのを見てた親爺が
「どないしまんねん、これ」と指した忌まわしい靴。
俺は吐き捨てるように呟く
「放ったらんかい!」
靴の抵抗を凌駕する気力で制圧を試みた俺が敗れた瞬間。
しかし、ずいぶん楽にはなったが、相変わらず膿を流し続ける傷は強烈に痛く生活にも大きな暗雲をもたらす。
無為な1週間であった。
全てを断ち切るべく映画三昧行脚に赴いたのだ。

まずは、梅田スカイビルのシネリーブル梅田で9:20の「(500)日のサマー」を見るべく、阪神福島駅よりズキズキ痛む足を引きずりつつ向かう。空中庭園で有名なツインタワー、スカイビルが見えてきた瞬間、異様な光景が…。
ビルの外周を長蛇の行列が取り囲んでいる。尋常な人数ではない。ヘタすれば1.000人規模だ。列を擦り抜け3階の映画館まで行き係の人に聞いた。
別スクリーンの「魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st」というアニメ映画に並ぶ人たちだったのだ。
ショックだった。俺は少なくとも映画という分野に関しては人並み以上に情報を摂取してるつもりだが、「リリカルなのは」なんて聞いたこともない。
例によって9割が中高生くらいの男の子ばっかりだ。
映画が終わった11:00にも相変わらずビルの下まで行列が続いてた。

次に、梅田ロフト地下のテアトル梅田で12:10の「赤と黒」を見るべく、JR北ヤード再開発エリアの地下道をズキズキ痛む足を引きずりつつ通り抜け向かう。
ロフトが見えてきた瞬間、異様な光景が…。
地下の映画館から階段を埋め尽くす長蛇の行列。尋常な人数ではない。ヘタすれば数百規模だ。列を擦り抜け地階の映画館まで行き係の人に聞いた。
別スクリーンの「劇場版 Fate / stay night-UNLIMITED BLADE WORKS」というアニメ映画に並ぶ人たちだったのだ。
又もショックだったのは、「Fate / stay night」なんて聞いたこともない。
そして、やっぱり9割が中高生くらいの男の子ばっかりだ。
映画が終わった16:00にもロビーは相変わらず人でごった返していた。

「お前ら、もっとリアルな現実に熱くなれよ!」
と心の中で絶叫してみたが…結局俺も似たよなもんだし、
何より、景気ええこっちゃないか!とも思った。
映画館の人の顔も上気し、かいがいしく働く女の子の凛々しいことよ。

足の痛みもなんぼかマシになった。
2010年1月23日 (土)
ずるむけ天国 ~徒然なるままに~
昨日、昼ごろ靴を買った。
飯を食って地下街をぶらぶらしてたら、新しそうな靴屋
「\ 1,050~」という表示があったのだ。
健康サンダルではなく革靴である。
全身バッタもんまみれの俺だが、さすがに革靴が1,000円ってのにはビビった。
店内を物色し、2,000円の革靴を買う。
履いてた、ほとんどスルメ状態に軟体化した靴を棄ててくれと店員に押し付け、2,000円の靴を履いて店を出た。
若干、きついが、履いてるうちに伸びるやろ…と思いつつ10数分。
「い…痛っ!」
更に数分しんぼうして歩く。
「げ…激痛っ!」
ほうほうの体で公衆トイレに駆け込み洋式便座に座ると、おそるおそる右足の靴を脱いだ。
踵の後が幅3㎝の楕円形状にべろんと皮めくれていた。
凄まじい絶望感に襲われた。
激痛に耐え靴を履きなおしトイレを出て地下街に復帰するも、1歩ごとに激痛が来る。我慢して歩くうちに冷や汗で顔がぐちゃぐちゃになる。
更にあろうことか左足にも同じ症状が…。
仕事に前向きに取り組む意欲が失せ、映画館でサボった。

今度は愛妻家」を見る。
号泣しそうになったが我慢した。
夜、家で感想をシネスケに書こうと思ったとたん、P氏のコメントがアップされた。何たる偶然。
俺は、感想を書き込む前には人のコメントは読まないのに、「号泣した」という文章が目に飛び込んできた。
「先…書かれてもうた!」
やむなく、「女房大事にせなあかん思た」と書きこむ。そこに付け足したり削ったり文章いじくってるうちに「女房大事に」は無くなってしまった。

今朝、電車の中で、西加奈子の「通天閣」を読み終わった。
これは、とんでもない傑作だった。
良い映画みれて、良い本読んで、どっちも地の底這ってるみたいな人々が、ささやかな光量にせよ希望の光を見出す話です。
これで俺も少しは前向きになれかもしれない。
ありがとう…2,000円の靴とずるむけた足の痛みよ。
2010年1月19日 (火)
イーストウッド
2009年のキネマ旬報ベストテンが発表された。
外国映画の①と③にクリント・イーストウッドの「グラン・トリノ」と「チェンジリング」が入った。
まあ、正直、この結果に関しては、さほど違和感はない。
だが…。
2006年 ①父親たちの星条旗 ②硫黄島からの手紙
2005年 ①ミリオンダラー・ベイビー
2004年 ①ミスティック・リバー
2000年 ①スペース・カウボーイ
1995年 ③マディソン郡の橋
1993年 ①許されざる者
仏カイエデュシネマのみが擁護し、日本を含めた世界で黙殺され続けた初期は別として、自身の本国アメリカでも初めて認知された「許されざる者」以降、特に2004年~2006年は3年連続で日本公開外国映画の年間ベストとなり、全監督作が上位を占める。
その時の裏作品は
2000年 ②オール・アバウト・マイ・マザー(ペドロ・アルモドヴァル)
2004年 ②殺人の追憶(ボン・ジュノ)
2005年 ②エレニの旅(テオ・アンゲロプロス
2006年 ③グエムル(ボン・ジュノ)
そして、2009年の②は三たびボン・ジュノ「母なる証明」であった。

2000年代の10年間、10回のうち5回をイーストウッド監督作にベスト作品の称号を贈ってしまった日本人って…どうなん。

小学生の頃、TVでマカロニウエスタンを観て育った俺です。
イーストウッドが嫌いなはずはありません。
マックイーンと並んで永遠に俺のヒーローです。
だが、この現実は、ちょっと気持ち悪い。
2010年1月13日 (水)
フィクショナル吉野屋 ~理想郷~
50代と思しき疲れきった出勤前のサラリーマンが入ってきて席についた。
「ご注文おきまりですか?」
「並と卵」
「はい、並1丁!卵!」

60代と思しき作業服の男が入ってきて席についた。
「ご注文おきまりですか?」
「大盛と味噌汁」
「はい、大盛1丁!味噌汁!」

40代と思しき風俗店長風の男が徹夜明けの倦怠をまき散らし席についた。
「ご注文おきまりですか?」
牛鮭定食
「はい!牛定1丁!」

10代後半と思しき専門学校生が席についた。
「ご注文おきまりですか?」
「牛丼の並…つゆだくで」
「…なんですか?」
「牛丼並…つゆだく」
「お客さん…あんたなめてるのか?」
「え…」
「何やねん…つゆだく?」
「…」
「どっかに書いてまっか?そんなメニュー」
「え…」
「言うにことかいて、つゆだく?何様やねん、おんどれ」
「あ…」
「出てけ!お前に食わせる牛丼は無い!」

少年は釈然としない顔をしつつも出ていった。
店内を静寂が支配した。
静寂を破るように、50代サラリーマンが奥ゆかしく拍手をし始めた。
自信なげであったが、それでも止むに止まれぬ衝動が彼を突き動かしたのだ。
60代の作業員も呼応するように拍手をし出すと、40代風俗店長も合わせて手を叩き始めた。
3人の男たちの拍手を受け、牛丼屋のパートのおっさんは、はにかみつつも溢れ出る涙が止まらなかった。
3人も泣いた。

夜明けの牛丼屋。
カウンターの片隅で黙って見ていた俺も目頭が熱くなった。
そして、一緒に手を叩き始めた。
2010年1月8日 (金)