★★★★ 2024年11月9日(土) MOVIXあまがさき5

大方の見解がそうであろうと思われるのだが、俺も「八犬伝」パートがショボイとまでは言わずとも何ほどのものも訴求しない一方で、馬琴の創作パートが魅せる出来だと思います。とは言っても不義が蔓延る現実の世の「実」に対して正義を通す物語の「虚」が抗し得るのかの命題は済し崩しの感はあるのだが。
尤もそういった大命題に簡単に答があるわけでもなく、歌舞伎「四谷怪談」を観劇に行った際の鶴屋南北との争論が馬琴の立ち位置を揺さぶるに止まる。ただ、このシークェンスは南北の造形の異形さもあり、そもそもに「四谷怪談」が「忠臣蔵」の裏返しの「虚」として創作されたという史的な奥行きも加わり篇中傑出した出来となった。昔、映画「忠臣蔵外伝 四谷怪談」を見たときはまーた深作が無理くり話をくっつけやがってなんて思ってましたが、元よりそういう風に創作されたもんだったんですね。勉強になりました。
堅物の馬琴をめぐる創作話が、どうしても辛気臭いもんになりがちなところ、気の置けない内野聖陽の北斎を適宜配することで救われている。そう言やあ映画「北斎漫画」では緒形拳の北斎に対して馬琴は西田敏行でしたな。
クサした「八犬伝」パートですが芳流閣シーンだけは素晴らしい出来でした。でもオールCGらしいっす。
不義蔓延る世の実に対して正義の物語の虚が抗し得るかの命題は済し崩しの感があり、鶴屋南北との争論は馬琴の立ち位置を揺さぶる。造形の異形と史的な奥行きが加味され篇中傑出した出来。辛気臭い創作話も気の置けぬ内野北斎を適宜配することで風も通る。