男の痰壺

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ソフィーの選択

★★★★ 2018年11月17日(土) 大阪ステーションシティシネマ
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見終わって製作年度を調べたら「シンドラーのリスト」より10年前だった。
であれば、このアウシュビッツの描写は衝撃だったと思われる。
 
どういう映画か、あまり知らずに見た。
で、必然的にかったるく感じた。
大体、俺は男2人に女1人の映画で常套な世界が好かんのだ。
まあ、「冒険者たち」とか「明日に向かって撃て」とか枚挙にいとまがないのだが。
撮影のアルメンドロスつながりで言えば「突然炎のごとく」ってことで、あれに似たようなロマン主義的ショットが満載である。
で、その満載に俺は鼻白んだ。
 
終盤になって、ついたり離れたりのラブアフェアーも終わったかに見えたころ、隠された事実が明かされる。
彼女の嘘と彼の新実であって、そこで価値観がぐらつき、長い収容所の回想のあと、更なる述懐が彼女から。
そこで、価値観が一気に転倒する。
享楽的で退廃的で自堕落な彼と彼女の世界が業苦と背中合わせであったのだと。
 
でも、力作どまりで大傑作と言えないのは、やはり前半のトーンの甘さだ。
アウシュビッツに匹敵する地獄が、そこでも垣間見えていればと思った。
 
展望立たぬ2人の『突然炎のごとくごっこを延々見せる前半が冗長なのだが、それはリセット不能業苦体験がもたらしたと明かされる後半のアウシュビッツの壮絶。価値観が転倒する力技だが、それでも現在形の心奥の地獄も垣間見せねば為にする感が拭えない。(cinemascape)