男の痰壺

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博徒一家

★★★ 2016年10月22日(土) 新世界東映
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自分より能力・人格的に見劣りすると衆目も一致する者が親分になるという跡目相続を描いて「総長賭博」のエピゴーネンだとの声も仕方なにのだが(というより笠原和夫のやっつけ仕事だろう)、これはこれで面白い。
こういう立場に置かれると、人は苦渋や妄念や嫉妬や怨嗟といったマイナスエナジーが芽生える。
いや、それじゃいかん!と平常心をこころがけ仕事に徹するのだと自分を諌める。
そういった揺らぎを最高にエクセレントな演技で体現するのが鶴田浩二だとすれば、健さんは全く違うアプローチを見せる。
即ち、体育会系的に何も考えてない風で、ぶっきら棒なマシーンと化するのだ。
そういう役回りに置かれた高倉健という役者を見れる。
その点だけで金太郎飴の任侠映画群の中で多少は印象付けられる1作だろう。
 
劣化跡目相続を描く『総長賭博』のエピゴーネンだが苦渋や妄念や嫉妬や怨嗟といった負エナジーをエクセレント演技で体現する鶴田に対しぶっきら棒マシーンと化する健さんの異化アプローチ。その点だけで金太郎飴任侠映画群の中で印象付けられる1作。(cinemascape)