男の痰壺

映画の感想中心です

泣く子はいねぇが

★★★★★ 2020年12月18日(金) 大阪ステーションシティシネマ

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ダメ人間かダメなままで終わることをモラトリアムな遣る瀬なさに包んで提示した点で高純度な達成であり、ジャームッシュ山下敦弘の系譜に連なる新たな才能だと思う。

佐藤快磨。覚えておこうと思いました。

 

生活能力がない男を下手に分析的に解釈を試みるのではなく、そこに厳然といるってことを丸っぽ投げ出すように提示しているのだが、それってリアリティの裏打ちがないとできないことだと思うんです。

禁漁区で採ったサザエやウニを買い取る怪しげな民宿親父の意味不明の蘊蓄。

別れた女房を探して訪れたピンサロの店長のどうでもいいような長電話の繰り言。

そういった細部の危ういオフビート感が世界を補完している。

 

母親が倒れたときの描写をはじめ、全般に省略が効いている。関係ないと思うが、俺の頭にはルビッチの名が飛来した。

 

主人公の友人役の寛一郎だが、3代目ともなると大概ボンクラになりそうなもんだが、こいつはいい。これから出てきそうな気がする。

 

ダメ人間であることを分析的にでなく外堀を誠実に埋めてくことで在るが儘に提示して剣呑とも言えるオフビート感に到達。民宿親父やピンサロ店長の一発芸的リアリズムのヤバさ。夜間シーンの照明の当て方。随所の省略話法の巧みさ。そしてナマハゲの当意即妙。(cinemascape)