男の痰壺

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ナイトメア・ビフォア・クリスマス

★★★★★ 2021年12月15日(水) 大阪ステーションシティシネマ11

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ハロウィンお化けの主人公がクリスマスっつうもんがあること知ってそりゃ素ん晴らしいと自分がサンタになって街に…ってーと、何だか善意に目覚めた悪みたいな胡散臭い物語かと思ったら違ってました。このジャックという主人公、冒頭からかっちょいい2の線で出てくるのだが、とんだ勘違いのマヌケ野郎です。

 

お化けだから人を怖がらせてなんぼの価値観しかないわけで、サンタを見てこりゃ素晴らしいと思ったって、結局は子供におっかないプレゼントを配って泣かせるだけ。そこで、あれ?俺っていったい…とか己のレーゾンデートルに踏み込んでしまうとどうどう巡りになる。だから、勘違いマヌケ野郎程度がちょうどいい。

後年の「モンスターズ・インク」に感じた居心地の悪さはこれだったのかと思ったり。

 

この映画の何が良いかっていうと、モーションアニメの技巧とかより、実に真っ当にミュージカルの体裁を打ち出して成功している点だと思います。そういう意味で原案のティム・バートンや監督のヘンリー・セリックの映画というよりダニー・エルフマンの映画。しかも主役の歌・声まで演っちゃってる。才人なんですね。

 

善意に目覚めたお化けみたいな胡散臭さを回避して、己がレーゾンデートルへの懐疑は一切ない。ただ単なるマヌケ野郎だったってのが良い。序曲から始まる伝統的ミュージカルの体裁を堂々と打ち出し全うしている。主役の歌唱まで担当したエルフマンの映画。(cinemascape)

 

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