男の痰壺

映画の感想中心です

炎の少女チャーリー

★★★★ 2022年8月15日(月) 新世界国際劇場

1984年版の映画化作未見、キングの原作は既読です。と言っても全然覚えてませんけど。

 

まあ、ジャンルムービーとしては、正直ショボい出来だと思う。少女が身体発火したとき防火服着てるのがわかったりします。

 

ただ、この映画は、そういう派手なエフェクトを目指していないように思える。描きたいのは、人目を避けて生きなければならなず、一方で国家権力からも逃れ続けないといけない能力者たちの身の置きどころない哀しみ。その点に関しては、先述のショボさが効いてうそ寒い寂寥が全篇を覆っている。

 

【以下ネタバレです】

父母と娘。この能力者一家の顛末は、原作もそうだったのかもしれませんが遥か予想を超えている。通常では、国家権力&そちらに与する能力者との対決で収斂しそうなもんだが、この物語はその先を見据えているようだ。

母を殺され、父を已む無くだが自ら殺し、権力組織を壊滅させた少女はその先どうするのか。そして、1人夜の海に佇む少女に手を差し伸べたのは誰か。

このラストは、凄まじいまでの非情な越境感である。ここで加点しました。

 

正直、炎使いとしてのエフェクトは凡庸の域を出ない。しかし、終盤に至って映画は権力機関VS能力者ファミリーの常道展開の果ての更なる向こうの地平に越境しようとしていることに気付かされる。堪らないまでのこの峻厳さはキングのものかも知れないが。(cinemascape)

 

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