男の痰壺

映画の感想中心です

The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ

★★★★★ 2018年3月11日(日) 大阪ステーションシティシネマ
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「白い肌の異常な夜」は未見です。
であるが、さんざその映画について見聞きしたおかげでストーリーは大体知ってしまってる。
であるから、展開の驚きはほぼ無い。
のだが、グイグイ引き込まれてしまった。
 
全篇、濃密な空気が揺るがない。
撮影がフィリプ・ル・スールという人でフィルモグラフィを見ると「エイリアンVSヴァネッサ・パラディ」があったので、なるほど、あの狂気に充ち充ちたソリッドな画面を作った人かと納得。
35ミリフィルムで撮られたシネスコ画面。
ノーライトで自然光のみのの画面は限りなく薄暗いリアリティが充満する。
美術、衣裳も本当に素晴らしい。
 
キルスティン・ダンストエル・ファニングと揃えてニコ-ル・キッドマンの代わりにスカーレット・ヨハンセンなら、ソフィア・コッポラ帝国が完成されて据わりがよかったのに…なんて思うのだが、スカヨハはマッチョに変貌してしまってソフィアのガーリーワールドからはみ出してしまったのだろうな。
 
脚のノコギリによる切断。毒キノコを盛っての毒殺。
といった、エグい設定。
押しつぶされた性欲の萌芽と嫉妬の女の園
といった煽情的な展開。
そういった要因が直截にではなく、豊饒な映像の背後で語ることなく完璧に語られている。
 
35ミリ・ノーライトの質感が南北戦争下の時代の空気を顕すのに絶妙で自然光は白の衣裳の嫋やかと融解する。万全の技術にソフィア・コッポラ帝国お手盛り女優を率いた総決算とも言えるガーリーワールド完成形。最早エロやゴアは語らずとも語れるの境地。(cinemascape)