★★★★★ 2018年3月25日(日) MOVIXあまがさき2
ピンポイントを衝く冨永昌敬のキャスティングセンスにあらためて感銘を覚える。
映画の焦点は幾つかある。
爆死心中した母親のこと。
80年代エロ雑誌と付随するサブカル業界の栄枯盛衰。
を柱とするが、そんななかから1人の女がフューチャーされる。
エロ業界を舞台としているのだから女の出入りは潤沢でオッパイポロンや本番シーンは少なくない。
そういう中に紛れてチョッカイ出した会社の新入社員。
あくまで、日々の流れのなかの些事としてのナンパがズルズルと地獄めぐりの様相を呈す。
鄙びた湖畔でのデートシーンに屋外スピーカーから聞こえる「カリフォルニア・ドリーミング」が秀逸。
この女を演じた三浦透子がしみじみ良い。
本妻役が前田敦子だが、彼女も体が絞れていい女になりました。
女の子から女への変貌を目の当たりにした思いです。
女ってのはおっとろしいもんです。
ってのと同時にリスペクトが感じられる。
爆死心中の母への思いや業界盛衰記としての側面は情に棹ささぬ描写が必要充分のラインを保つが、唯一感情が吐露される或る女への想いは苦渋に塗れる。朽ちた白鳥舟が寂寥の湖畔デートから病院へ至る経緯こそ白眉だ。隠し玉アラーキー菊地も世界を拡張。(cinemascape)