男の痰壺

映画の感想中心です

宗方姉妹

★★★★ 2024年6月7日(金) 大阪ステーションシティシネマ

主役の傍にいる2人の陰陽の凄まじい2項対立。その手のタイプキャストからは幾許か外れてる高峰秀子の躁と山村聡の鬱の規格外の在り様の狭間でノーブルな田中と上原が従来型の小津モデルを慎ましく演じている。そういう意味で小津フィルモグラフィの中でも異彩。

高峰も山村も本来なら田中・上原のポジションの方が据わりがいい。冒頭で執拗に繰り返される秀子のペロ出しは、小津と秀子の覚悟の宣戦布告にも思える。凄いと思いました。

 

山村との離縁を決意した田中と上原の会食の場に突然現れる山村。そのときの2人のリアクションのあとに山村を映す。映画の常道とも言える繋ぎの順序が小津映画としては違和感を与える。当たり前の繋ぎをしてるのに違和感を与える小津って、と思う。つくづく普通じゃない人であったんですなあ。

 

主軸の2人の顛末も、きりりとした矜持を堅持する見事なもので、現代社会の易きに流れ恥を厭わない風潮を恥ずかしく思いました。

えっ、お前はどうかって?いやー当然とことん易きに流れてますが、何か?

 

陰陽両極に振れ切った2キャラの狭間でノーブルな正調小津世界が粛々と展開していく。その曲球めいた構造に於いて異彩だが、冒頭執拗に繰り返される秀子のペロ出しは2人の覚悟の宣戦布告。ラストの感情の揺らぎを断ち切る矜持に居住まいを正す思い。(cinemascape)

 

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