映画感想【おあ~おの】
★★★★ 2005年3月18日(金) トビタ東映 疑似家族形成の過程が性急で少し嘘臭いが、子供の親探しとマドンナとの絡みが巧みに配置された展開が極めてバランス良い。刺身の端に甘んじた秋吉ではあるが正面から寅に迫る女っぷりには山葵が利いている。受けた渥美も…
★★★ 1992年8月25日(火) シネマアルゴ梅田 シナトラ一家というものに対してのバックボーンな予備知識が無い分楽しめないのだろう。犯罪のトリッキーには殆ど依存していない。従ってラストのシークェンスの傑出に比して他は凡庸。シャーリーファンとしてはカメ…
★★★ 1992年9月5日(土) サンポードアップルシアター どうにも山田がマドンナを持て余しおっかなびっくりな生半可さで、寅の想いは発露さえ儘成らぬ体たらく。代わりの博の独立騒動とかも又楽しいが、添え物扱いの若尾がやはり気の毒。序盤の宮本と森繁のサイ…
★★★★ 1992年8月29日(土) サンポードアップルシアター 渡世人稼業の哀感を描く前段と、後半の東京でのルーティーン失恋譚が各々しっくり調和して完成度と言うならシリーズ中1・2を争うのであろうが、大きな破綻もなく完成され過ぎてる一方突出したものもな…
★★★★ 2021年11月22日(月) 新世界東映 女の方からグイグイ来られる。モテない男の願望かもしれませんが、こういうのに俺は弱いんです。もちろん、来る相手にもよるんですが、今回それは佐久間良子ですから。ちなみに俺は彼女のことを、今でもよく特集上映さ…
★★★ 2007年1月20日(土) 日劇会館 骨格は単純で良いにしても、淫猥と高潔の対決は余りに何の捻りもなく、しかも、新珠は吹き替えヌードで興を削ぎ佐藤は腹に一物有り気で胡散臭い。高峰をもっと掘り下げれば違う目もあったかと思う。宮川カメラは唯一パンが…
★★★★ 2021年10月21日(木) TOHOシネマズ梅田6 小野田さんがルバング島から帰還したのは戦後30年近くを経た1974年。俺が小学生の時だったが、その2年前にグァムから帰還した横井さんに比べて印象が薄かった覚えがある。メディアにも頻出した横井…
★★★★★ 2021年9月20日(月) シネヌーヴォ 反復のエクリチュール。 同じ物語を見方を変えて2度繰り返す。ホン・サンス近年の「正しい日 間違えた日」でも使われた叙法である。 男から見たものの見方と女から見たそれは違う。男は簡単には楽観的になれないし…
★★★★ 1991年5月27日(月) シネマアルゴ梅田 巧緻なパロディを織り交ぜた高品質な喜劇映画とは納得するが、キワどい題材だけに「高品質」であることが物足りなくもある。ラストも破壊的とまではいかない。ただ、何と言ってもモンロー!彼女のオーラだけはエタ…
★★★ 2008年1月5日(土) 新世界国際劇場 「俺達ナイスバッドガイだぜ!」オーラがフルスロットルで結構なのだが薄味でおっついてない。冒頭のブラピ登板の空港のポップな仰角ショットにこそ期待したが結局平板に終始。情に流されてんじゃないぜ!安住するな…
★★★ 1991年9月15日(日) 新世界国際劇場 クリエイティブたることを放棄し回顧趣味職人と化したランディス掌中の緩いながら古き良きコメディの世界がスタローンで泥臭く鈍重になった。それが残念でもあるが又、好きなところでもある。このような失敗を繰り返せ…
★★★ 2021年8月15日(日) シネヌーヴォX まっことおこんばあちゃんのためにいっしょうけんめいでかわいいのー。 とまあ、そんな程度の感想しか思い浮かびません。 かわいいといえばかわいいが、そうでもないともいえる人形が、画面占有率5割くらいでどっか…
★★★ 1991年10月6日(日) ホクテンザ1 毒にも薬にもならない平穏世界のロマンティックコメディを豪奢な意匠で飾り立てるところに森田流スノビズムを感じ鼻につくが、にもかかわらず、前田米造のキャメラを始め美術に至るまで当時の日本映画最高ランクの仕事は…
★★★ 1991年10月13日(日) 新世界国際劇場 中途半端なコメディ色が邪魔な一方、ユンファは又もやの独り善がりな気障演技に浸って何ともチグハグだ。アクションも手緩い。それより、百恵の「さよならの向こう側」。嘗て数多の女達が唄っては嫁いで行った曲にひ…
★★★ 2008年4月24日(木) 梅田ピカデリー4 過剰な装置と原色の氾濫の中で男と女と親と子が繰り広げる骨肉の相克がイーモウの極北かと思わせる前半は傑作だが、後半、狂気にまで至る越境ぶりも劇画チックな殺陣に埋没し廉価な茶番に堕す。惜しいとしか言えな…
★★★★ 2021年8月15日(日) シネヌーヴォX 8分の短篇だからこそ狭雑物ゼロで禍々しさが強烈だ。 実の息子を喰らおうとするまで堕ちる暗黒鬼道の深淵が一切の説明もなく提示される。 憐れみや同情や言い訳などない堕ちた者は朽ちるべしのハードボイルド。 蒔…
★★★ 2008年5月20日(火) 梅田ブルク7シアター1 コンプレックスに苛まれながらも一応は生き様を貫徹する西田・西島の男勢に比して千鶴ちゃんは一貫してないのだが、可愛いから許せてしまうのが困ったもんだ。デジタルのチープな画質も厚い役者陣(余・嶋田…
★★★ 2008年5月24日(土) トビタ東映 ヤケに扇情的な出だしがB級度満開の期待を煽るが、その後平易且つ淡泊に物語はサクサクすすみつまらない…と思いきや火山口シークェンスの妙に執拗なまでの間延び感が無意味で魅せる。カタルシスの欠片もないのが寧ろ潔…
★★★ 1982年5月21日(金) 豊中松竹 破壊的で荒ぶれる寅だからこそ失恋の痛みが本当に痛切。終盤の駅の安食堂での別れに滲み出る兄妹愛がそくそくと心に染み透る。同時代で見ていたら、もっと高い点にしたと思う。(cinemascape) kenironkun.hatenablog.com
★★★ 1990年4月7日(土) 日劇シネマ 岸恵子にお芸術家を振った段階で山田洋次は2度負けている。ステレオタイプな馴れ合いのキャスティングであることと、寅と織りなすドラマが端から透けている点でだ。何となくふられるんじゃなくて、はっきりと拒否されると…
★★★ 1990年4月15日(日) 日劇会館 『広島死闘篇』の大友勝利をバージョンアップしたが如き千葉真一のこのテンションだけでも一応は見る価値はあるだろう。しかし、他に何がどうということもない。沖縄返還に際しての悲喜交々の本土に対するアンチテーゼをこそ…
★★★★ 1990年7月22日(日) みなみ会館 敵対する殺し屋と刑事がメルヴィル的フィルムノワールならば、殺し屋と歌手の絡みは日活アクション的ムード歌謡。隔絶された世界で一貫して浸り切った過剰とも言える情緒が一歩間違えればギャグになる寸前で縦軸と横軸を…
★★★ 1990年7月22日(日) みなみ会館 ジョン・ウーは、どうも撃ちまくり破壊しまくる銃撃戦だけを撮りたかったようで、結果、堪えに堪え忍んで最後にブチ切れるという任侠世界が後方に追いやられ、何故か獲得したのが80年代アメリカ映画の1系譜たるベトナム…
★★★ 1990年9月1日(土) 京都コマゴールド 不良少年ものとしての殊更な刺激があるわけではない。教条主義の裏返しな親や社会への反動もベタついた甘えもない。そういう旧来のドラマトゥルギーを否定し少年期特有の快楽追求の生理を描くことに特化。レオの発見…
★★★ 1990年7月22日(日) みなみ会館 信頼と裏切りや忍耐とブチ切れや落魄と成り上がりなど余りに単線メロウな展開が今ひとつクールじゃないしアクション編集も後のジョン・ウー作品の緻密と比べると未だ雑い。とっぽいユンファの煙草とグラサンが漸く板につく…
★★★★ 2009年3月28日(土) トビタ東映 蝶々・光本登板で決算的華やぎを醸し、和製ジェルソミーナの似非感は榊原るみの想外の好演でかわし、江戸川の2シーンと終盤の津軽の情感は決定的な突出を呈する。初期の中では『望郷篇』『夢枕』と並ぶ好篇。(cinemasc…
★★★ 2009年4月16日(木) 梅田ピカデリー4 異世界との遭遇によるドラマトゥルギーの起点が周防・本木のコンビ作と相似だが滝田演出に作家性は無いから鮮度落ち感が拭えない。『御法度』と『壬生義士伝』の比較も脳裏に浮かぶ。広末女房が現出させる理想郷始…
★★★ 1978年1月7日(土) ダイニチ伊丹 シリーズ初見作なので、どうも客観的に比較できないのだが、傍系の若者の恋愛に隠れて寅自身のマドンナとの絡みが希薄ではあった。又、輪をかけて藤村志保が影薄い。しかし、渥美清の話芸に心底ぶったまげたのは事実。 …
★★ 1989年8月26日(土) 長崎松竹 寅にウィーンなんて合うわけないじゃん…ではなく内向的視点から脱却できない山田の時代錯誤感こそが穿たれるべきだろう。欧州1000年の歴史に柴又イズムがどう対抗するのかこそが見たいのであり観光客的視点の傍観者じゃ話…
★★ 2010年2月5日(金) 梅田ブルク7シアター1 若い2人やホスピス周辺など多くの点描される脇キャラは相変わらず素晴らしいが、肝心の鶴瓶が可愛くないのが救いがたい。それを又今更の寅次郎のトレースとして出す山田には慢心した権威臭さえ感じた。シスコ…