男の痰壺

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ゲームの規則

★★★ 2024年4月15日(月) プラネットプラスワン

ルノワールの最高作とする向きもあるそうだが、どうにもなんと言うか今いちだった。だいたいに於いて俺はルノワールの映画が性に合わないんでしょうね。何見てもあんまりピンと来ないんです。

 

貴族たちの4角関係が軸にある。それとは別に使用人の3角関係もあって、狐狩に招待された人々そっちのけで7人がてんやわんやの図式。それとは別にルノワール自身が演じるオクターヴという高等遊民みたいなのが各々のややこい関係の修復を担って1人ウロチョロしてる。

正直、この顛末が語られる映画の2/3くらいは退屈でしかなかった。

 

終盤になって交わることのなかった2つの関係人物が交差することで、とんでもない悲劇へと転調していく。のであるが、さすがにそのへんになると映画は劇的に締まっていく。そして宴の後のアイロニーが濃厚に漂うなかFINとなります。でも、ええんかなあと思う顛末の裁断が引っかかりますけど。

 

終わってみれば、強烈に印象に残るのはルノワール演じたオクターヴであり、調子がいいだけの野郎に見えた彼が、自分で凌ぎを為す身分でなく人の温情で生きている情けなさを述懐し、また秘めた恋心を顕にするのには心動かされます。多分、それは名声高い父の名のもとに生まれ、映画などというあやふや仕事に身を窶す自身の投影だったんだろなと思われるのです。

 

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