★★★ 2025年5月14日(水) 大阪ステーションシティシネマ7
リー・ミラーのこと全然知りませんでしたけど、彼女の生涯のトピックは第二次大戦への従軍と、それ以前のモデルからカメラマンに転じたパリ時代かと思われる。映画は前者8割、後者2割くらいの配分だが、やっぱ女の生き様に転機を与えたパリ時代も興味深いのだし、描かれるべきだったのではないか。
ケイト・ウィンスレットも50歳だそうで、久々に見たら体もデカくなって大年増然とした風格を帯びているのに驚いたのだが、リー・ミラーが第二次大戦に従軍したのが35歳のときみたいで、それでもケイトに違和感はないのはさすがであります。年齢的にも待ってりゃどんどん役が回ってくる歳でもなくなり、自ら製作総指揮として企画を回していったのであろう。
好きな女優であるし、好意的に見たいのだけど、それでもやはり描き足りなさは否めない。
ヒトラーが何日か前まで使っていた浴室を偶然見つけた。それを単に撮影しただけでは面白くない。そこでリー・ミラーは自らが裸になり浴槽に浸かって帯同者にその写真を撮らせた。この下手すりゃあチュー坊の悪戯写真と50歩100歩に見える行為の「真実」に映画は迫れていない。鍵をかけた浴室でカメラマンのデヴィッド・E・ジャーマンとのやり取りは誰も真実を知らない薮の中。それでもそこにこそ、この映画を撮る覚悟が問われる何ものかがあったのではなかろうか。
パリ時代を申し訳程度に付加したことでその部分への興味が却って掻き立てられる。ナッシングでも良かったのでは。ウィンスレット御歳50歳、製作も買って出て気合い乗り充分で清々しくはある。のだが描き足りなさも.浴室での顛末は多分に表面づらだ。