男の痰壺

映画の感想中心です

アムステルダム

★★★ 2022年11月1日(火) なんばパークスシネマ11

この映画の骨子は2つ。

第1次大戦で欧州に従軍した2人のアメリカ人がそこで1人の女性と出会い、束の間の共同生活を過ごす。男2女1のある種微妙な関係はトリュフォー突然炎のごとく」を思い起こさせる。

一方で、彼らは何某かの巨大な謀略に巻き込まれて、成り行きからそれを阻止しようとする。

この2つのテーマが、どっちつかずで噛み合わない。結果、薄味であるし肩入れしようとするとスカされる。

 

相変わらずのクリスチャン・ベイルの役の作り込みだけ悪目立ちしすぎで、ジョン・デヴィッド・ワシントンはプレーンすぎで面白味がないうえに、なんといってもマーゴット・ロビーが複雑な背景を持つ役柄に適合し切れてない。ルーニー・マーラとかだったらと思わせる。

 

陰謀ってのが一部の巨大産業の富裕層による専制国家の樹立。それは今のアメリカにも通底する懸念なのだろう。デ・ニーロ扮する退役軍人の大物が陰謀を阻止する為にテレビでスピーチするのだが、実人物の証言映像をトレースしてるのでハッタリ不足。何よりバリバリの民主党シンパのデ・ニーロでは捻りがなさすぎなのだ。ここは、嘘でもいいから「チャップリンの独裁者」なみの反ファシズムの一大デモクラシー演説にしてクライマックスにしてほしかった。

 

戦地欧州で形成された男2人女1人の連帯・恋愛にロマンティシズムが希薄で、帰米後の巨大謀略への巻き込まれも突っ込み不足で生半可。どちらかに重心を向けるべきだった。マーゴに儚さ・デ・ニーロにハッタリが欠如しベイルだけ悪目立ちしてる。(cinemascape)

 

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