男の痰壺

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ドミノ 復讐の咆哮

★★★ 2021年1月14日(木) 新世界国際劇場

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「パッション」以来6年ぶりのデ・パルマ作品ということなんだが、4つ巴の話の軸が定まらないまま流されていく感じだ。

相棒を殺された刑事、父をイスラム過激派に殺された元特殊部隊の男、イスラム過激派、CIAの4者が入り乱れる。

この元特殊部隊の男が一応は敵役の筈なのだが、彼もCIAに家族を人質に取られて働かされる。気の毒な野郎なのだ。よって刑事と追いつ追われつみたいな展開に収斂し切れない。

そこで、映画のクライマックスは闘牛場で自爆テロを仕掛けるイスラム過激派の阻止みたいな傍筋の展開。

まあ、ここがデ・パルマ得意のスローモーションの多層クロスカッティングで見せるっちゃあ見せるのだが、しかし、往年のゴシックな厚みには程遠いです。

 

デンマークが舞台なのだが、「ミッション;インポッシブル」でも感じた欧州の景観との親和性。

或いは、イラク戦争を題材にした「リダクテッド」に連関するイスラムと西洋の相剋への傾倒。

そういうデ・パルマの来りし道を思わせる作品ではある。

 

追う追われるの展開は傍から出てきたCIA・ISISにもっていかれる。その錯綜を混沌のダイナミズムに置換する意思がないのてトッチラかる。闘牛場の佳境は此処ぞとばかりのデ・パルマタッチだが棒立ち男とのカットバックでは動きを欠き精彩に欠ける。(cinemascape)

 

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