★★★ 2025年4月1日(火) 大阪ステーションシティシネマ3

主人公の女性FBI捜査官が怪物と対峙する、という設定で否応なく「羊たちの沈黙」を連想するのだが、彼女が半能力者であるとした時点で世界は収縮してしまったように思う。立ち居振る舞いが常人と違う屈託を帯びていて、見る者は心の寄せ処に難儀するからである。
冒頭から少女時代の彼女とロングレッグスの邂逅が描かれる。そのスタンダードサイズの古色帯びた画面が現在時制になり拡張してシネスコになるあたり描法への拘りが悪くないのだが、一方で再三インサートされる不吉なイメージとしての蛇の描写とかが陳腐で、トニパキの息子だという監督オズグッド・パーキンスのセンスに一抹の不安を覚える。
まあ、結局はこの映画予想を上回るような大したことは起こらない。演出も破綻はないが寧ろ破綻しろよと思えるダウナートーンで、「暗号」や「人形」とかのギミックを施してはみたもののやってみただけ感が横溢するし、ニコケイも気持ち悪さは認めるが大して怖くなく、これやったら昔の2番館の3本立ての中で埋没する類のレベル。期待もしてへんかったんでええねんけどね。
これ書いてる茶店でたまたまエンドロールで使われた「ゲット・イット・オン」が流れてる。学生映画のノリみたいや。
主人公の女性FBI捜査官が半能力者だとした時点で半端な屈託により世界は収縮してしまった。結局は虚仮威しであり演出も破綻はないが寧ろ破綻しろよと思えるダウナートーン。「暗号」や「人形」とかのギミックを施してはみたもののやってみただけ感が横溢。