男の痰壺

映画の感想中心です

映画2023

罪と悪

★★★ 2024年2月5日(月) 大阪ステーションシティシネマ12 和製「ミスティック・リバー」と言われてる本作ですが、そもそも少年時代のトラウマが大人になってから何某かのドラマを起動するってのは、相当にやり尽くされた大枠であり、そんな袋に何詰め込ん…

哀れなるものたち

★★★★ 2024年2月日(土) MOVIXあまがさき7 ビクトリア朝時代ということだから、19世紀末から20世紀初頭の話なのだが、多分にパラレルワールドめいた奇想的な美術・衣装が施されている。ランディモスのこれまでの作品も奇想を旨としてきたけど、意…

カラオケ行こ!

★★★★ 2024年1月28日(日) MOVIXあまがさき5 牽強付会もええとこの初期設定であり、そこをどう乗り越えるんやと思っていたが、最初のカラオケルームでのボケツッコミが恐ろしくローキーに弾けない様を見て、関東人の綾野と齋藤潤くんのペアへの懸念が…

ゴールデンカムイ

★★★★ 2024年1月21日(月) MOVIXあまがさき6 「るろうに剣心」あたりから日本映画のコミックス映画化作品の風向きが変わったように思います。ようやっと欧米やアジアのジャンルムービーに伍するようになってきたみたい。本作も「キングダム」の脚本家…

枯れ葉

★★★★ 2024年1月16日(火) シネリーブル梅田4 カウリスマキの映画を「浮き雲」以降見てませんでした。同なじことやり続けることはいいんですが、なんか不要な夾雑物が紛れ込んできてる気がしたもんですから。 今回、引退宣言を撤回してまで撮ったのは、ロシ…

ビヨンド・ユートピア 脱北

★★★ 2024年1月15日(月) 大阪ステーションシティシネマ8 北朝鮮→中国→ベトナム→ラオス→タイ→韓国、12000キロの行程が唯一のマシな脱北ルートで、中国・ベトナム・ラオスは親北国家なので、そこで脱北者だとバレると捕まって強制送還される。強制送還…

エクスペンダブルズ ニューブラッド

★★★ 2024年1月11日(木) 大阪ステーションシティシネマ4 「エクスペンダブルズ」見るのは1作目以来。シリーズにもスタローンにもそんなに思い入れもない俺です。であるから、まあ面白かった。 【以下ネタバレです】 チームでミッションを遂行する。そのと…

コンクリート・ユートピア

★★★ 2024年1月6日(土) MOVIXあまがさき10 大震災で壊滅した都市で唯一倒壊を免れたマンションとそこの住人たちが、瓦礫の山に投げ出されたその他の人々との間に軋轢を生んでいく。幸運と不運、持てる者と持たざる者。多くの2項対立がどのような人…

PERFECT DAYS

★★★★ 2023年12月26日(火) 大阪ステーションシティシネマ6 「一日2杯の酒を飲み肴はとくに拘らず〜」と河島英五の歌が見てるあいだ脳裏に去来したのだが、ジャームッシュの「パターソン」とおんなじやんとも思ったり。 日々の当たり前の営為の反復を愛お…

ポトフ 美食家と料理人

★★★★★ 2023年12月21日(木) シネリーブル梅田1 見た直後は若干の物足りなさを感じたのだが、時間が経過するにつれて主人公の生き様の確かな佇まいと演じたジュリエット・ピノシュの完璧な存在感が惻々と迫ってきて評価を上げました。 貴族階級の食通男がい…

ほかげ

★★★★ 2023年12月21日(木) シネリーブル梅田2 趣里1本かぶりの映画かと思ってたが違ってたのが予想外であった。そして、それが結果的に物語を客体化して風通しの良さをもたらす。 考えてみれば、塚本映画とは徹頭徹尾に主観の物語であり続けてきたわけで…

怪物の木こり

★★★ 2023年12月17日(日) MOVIXあまがさき8 シリアルキラーVSサイコパスと聞いて「エイリアンVSプレデター」とか「貞子VS伽倻子」とかの最恐対決もんを連想するが、そういうのって大方面白くならないのは、どっちかに見る者の気持ちを仮託させ…

市子

★★★★ 2023年12月11日(月) シネリーブル梅田2 死んだ或いは失踪した男乃至は女が存在しない若くは全く違う人物であった。というツカミは一昨年の「ある男」と近似だが、あちらが当該の男以外の人物を物語の真ん中に併存させた為に焦点が拡散したように思た…

★★★★ 2023年11月27日(月) MOVIXあまがさき3 強固な撹乱要因を取り巻くホモソーシャルな集団を描いた点で大島「御法度」を連想するのだが、たけしの頭の中にもそれはあったと思う。あの映画のたけしと崔洋一の苦笑と冷笑まじりの傍観スタンスは、たけ…

私がやりました

★★★★ 2023年11月9日(木) 大阪ステーションシティシネマ5 1人の女が邸宅を出て慌てて歩いて行く。この冒頭数分間の絶妙に安定したモンタージュだけでも、ああ、この映画見に来て良かったと思わせるものがあります。「熟達の域」なる言葉をどっかの評で見…

キリエのうた

★★★★ 2023年10月31日(火) 大阪ステーションシティシネマ12 改めて岩井俊二の時間軸を操る脚本構成の力量を感じさせる映画だと思う。「Love Letter」や「ラストレター」でもそれは感じたが、今回は空間的な跳躍が加味される。 大過去の宮城石巻と大阪、中…

ドミノ

★★★ 2023年10月30日(月) MOVIXあまがさき11 能力者と組織の戦いを描いたローバジェット・90分の映画ってことで、80年台のデ・パルマやクローネンバーグなどの作品を想起させるのだが、いかんせん見飽き聞き飽きの設定鶴瓶うちで新たな刺激もあ…

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン

★★★★ 2023年10月22日(日) MOVIXあまがさき11 「沈黙」以降、スコセッシの映画に何一つ新たな何かを期待してない俺だが、本作はよりによってディカプリオ&デ・ニーロの共演ってこと。それによって新味の欠片もないルーティーンの極みは逆目に転じて…

白鍵と黒鍵の間に

★★★ 2023年10月7日(土) MOVIXあまがさき10 見てる間、主人公の過去・現在を錯綜させて描いてるものと思っていたが、同時制・同空間の話なんだそうで、従って過去と現在と思っていた2人は別人なのだとか。しかし、原作者・南博の姓と名を分解して其…

イコライザー THE FINAL

★★★★ 2023年10月7日(土) MOVIXあまがさき10 海外ロケを敢行したシリーズ最大スケールの最終章だそうだが最小スケールの敵であった。1作目のロシアンマフィア、2作目の同業者に比べて今回はイタリア地方都市の地場マフィア。はっきりいってチンピ…

BAD LANDS バッド・ランズ

★★★★ 2023年10月2日(月) 大阪ステーションシティシネマ9 展開が全く読めないという意味で、近年の原田眞人の映画ではベストじゃないかと思う。まあ、原作がそうなんでしょうけど、終盤で予定調和に陥るってことがなくて振れ切っています。 振り込めサギに…

禁じられた遊び

★★★ 2023年9月17日(日) MOVIXあまがさき3 もはや手垢まみれの「貞子」であるが、3番煎じ5番煎じとも言える似たようなものを創始者である中田秀夫が敢えて出してきた点、それと前作が復調を多少感じさせたことから密かに期待はしていたし、読んだ評…

アステロイド・シティ

★★★★ 2023年9月11日(月) 大阪ステーションシティシネマ12 入れ子構造なんだそうだが、それが十分に機能してるかは疑問である。1950年代、水爆の実験場の至近にある砂漠の中の町に表彰式の為に5人の少年少女とその家族が集められる、というのが内枠…

ドラキュラ デメテル号最期の航海

★★★ 2023年9月11日(月) 大阪ステーションシティシネマ6 証文の出し遅れみたいな今更のドラキュラに食指は動かなかったのだが、監督が「ジェーン・ドゥの解剖」の人だと知って見る気になった。力量のある人だと思うし、本作でも画力の強さは随所で見られま…

こんにちは、母さん

★★★★ 2023年9月2日(土) MOVIXあまがさき5 「たのむよー、母さん」「しょうがない、母さんの出番だね」 と、予告篇で使われてるやりとりなのだが、もうちょっと頼まれるに甲斐ある内容なのかと思っていた。しかも、これが映画のクライマックスなので…

キングダム 運命の炎

★★★★ 2023年8月27日(日) MOVIXあまがさき9 いったいいつまで続くねんとの思いもあるのだが面白いからまあええやんとも思います。 隣国、趙が攻めてきて主人公の属する秦は迎え撃たねばならない、っつーのが今回の話の基軸だが、映画の前半分は嬴政(…

リボルバー・リリー

★★★ 2023年8月18日(金) Tジョイ梅田7 行定勲の初アクション演出にさして期待もしてなかったが、期待通りの凡庸な出来だった。綾瀬はるかは「レジェンド&バタフライ」での予想外の動きの良さに少なからず驚かされたけど、そのへんはやっぱ大友啓史の擬斗…

君たちはどう生きるか

★★★★ 2023年7月18日(火) 大阪ステーションシティシネマ1 「風立ちぬ」を見たとき、あゝ宮崎駿引退するのか、もったいないなと思ったけど、今作を見ると潮時やなと感じた。良いか悪いかは別として常に予想を裏切って前に進み続けてきた彼の作品で初めて味…

ザ・フラッシュ

★★★ 2023年6月28日(水) 大阪ステーションシティシネマ3 マーベルだDCだマルチバースだユニバースだとか最早ウンザリでいつまでやるねん思いますが、これは何か違うぞ的な評も多く見よかいう気になったんですけど、やっぱ似たり寄ったりでした。 超音速…

怪物

★★★★ 2023年6月4日(日) MOVIXあまがさき11 カンヌでの脚本賞受賞の降って湧いた感の正体は又ぞろの多様性ポリコレかよと、幽霊の正体見たり枯れ尾花。でも、それは授賞の背景のことで、作品自体の評価とは又別ものの筈である。 どうも、この脚本、…