男の痰壺

映画の感想中心です

2024-01-01から1ヶ月間の記事一覧

実録外伝 大阪電撃作戦

★★★ 2016年12月10日(土) 新世界東映 タイトルバックに未だスラムの残る70年代の大阪の空撮映像が出る。 脇雑な混沌に期待が深まるのだが、結局凡百の実録物と差異性はほぼ無い。 神戸の巨大組織の侵攻に長いものには巻かれるしかしゃあないんちゃうとい…

オム・テファ Tae-hwa Eom

生年:1981// kenironkun.hatenablog.com

コンクリート・ユートピア

★★★ 2024年1月6日(土) MOVIXあまがさき10 大震災で壊滅した都市で唯一倒壊を免れたマンションとそこの住人たちが、瓦礫の山に投げ出されたその他の人々との間に軋轢を生んでいく。幸運と不運、持てる者と持たざる者。多くの2項対立がどのような人…

イージー・ライダー

★★★★ 1976年9月5日(日) 伊丹グリーン劇場 「俺たちゃあ束縛されないぜ!」と時計を投げ捨てたキャプテン・アメリカが渇望し広大な大地をひたすらバイクでぶっ飛ばした「自由」は徴兵制等のリアルな束縛からの解放願望と思えば切ない。自由が横溢する世界で…

秘密 THE TOP SECRET

★★★ 2016年8月6日(日) MOVIXあまがさき5 振っといて回収せず振りもなく主線に躍り出させるとっ散らかった脚本。概ね過去形吉川 と進行形梨沙のパートに分断するが連関は希薄だ。過去話を省き絹子という稀代の キャラを増幅すればシュアな出来にもな…

恐喝 ゆすり

★★★ 2016年12月4日(日) プラネットスタジオプラス1 自業自得やん…この女って思うモラリズムはヒッチコックには無いのだろう。 どうやってサディスティックにいたぶるかしか眼中にないのだから。 それで又このアニー・オンドラが可愛いんですわ。 コスプレ…

ロスト・バケーション

★★★ 2016年8月1日(月) TOHOシネマズ梅田6 この設定でこうなるとの予定調和から些かの逸脱も無いし見せ方に於いてショットの連鎖が勢いの域に安住し怠惰である。終局の展開は不親切というより思い上がりだ。端末大好き僻もどうかと思う。ただ空…

キャバレー

★★★★★ 1976年10月14日(金) ビック映劇 1981年11月1日(日) 関西学院大学5号別館4号教室 ボーイソプラノが扇動するファシズムの勃興を斜眼で捉まえながらの舞台上と袖で交錯するライザとグレイの視線が全てを見透かすかのように錯覚させる作劇のクールネス…

ハンズ・オブ・ラブ 手のひらの勇気

★★★ 2016年11月28日(月)大阪ステーションシティシネマ9 恋の形成過程も熟成過程も多分におざなりである。 確かに映画の本線は権利を得るための社会を巻き込んだ「闘い」にあるのだろうし、実話ということで脚色にも限界があったかもしれない。 だが、この…

シン・ゴジラ

★★★★ 2016年7月31日(日) MOVIXあまがさき6 日本はまだやれる的メッセージが迎合的だし総理だ大統領だの大風呂敷広げ茶番に見えるのも難点だが、異能集団こそが危機を回避し得るという「半島を出よ」的コンセプトと第1形態の想定外のズレ感。…

Tommy トミー

★★ 1976年8月29日(日) 元映 ザ・フーの曲は好きだが、今で言う引きこもり青年の他力本願な救済願望には辟易する。主人公が、たらい回しに回される各ロックスターに余りオーラが感じられない。演出的にもエルトン・ジョンのシーンのみが突出。(cinemascape)…

アブラハム渓谷

★★★★★ 2016年11月19日(土)シネヌーヴォ シニカル爺さんがその攻撃の爪をたたんだふりをして、文学的芳香をあらん限りの力量を投じて注ぎ込んだ作品として、ブニュエルの「哀しみのトリスターナ」と好対を為すであろう。 もちろん、たたんだ爪は随…

続・夕陽のガンマン 地獄の決斗

★★★ 2016年10月20日(日) 大阪ステーションシティシネマ7 冒頭ラストの各10分は得意の縦構図とクローズアップの快楽モンタージュで殿堂入り級だが残り大半は弛緩。ミニマムなアウトロー講談に南北戦争という大状況を加味しキャラが振り回され凡化し…

インフェルノ

★★★ 2016年11月19日(土) 梅田ブルク7シアター7 まあ、全然面白くもない映画だが、腹も立たぬのは小賢しさのないロン・ハワードの人徳でしょうか。 主人公の記憶喪失から始まるありがちな導入ではあるが、戻ってくる記憶のピースがはまっていく構築の快感…

さよならを言わないで

★★★★ 1976年11月23日(日) 大毎地下劇場 行き場のない刹那感に思い出はあくまで美しく縁取られ、やがて確実に来る終着点に向かって愛は昇華されていく。そして、美しい2人を、これ又圧倒的に美しく哀しい秋の佇まいが包み込むのだ。世の規範に背を向けてひ…

アラビアのロレンス

★★★★ 16976年11月23日(日) 大毎地価劇場 シャリフとクインを従えてのアカバ攻略をピークに映画は長い凋落に停滞感を強める。リーンの力技が随所に効いて惑わされるのだが構成は歪。色を添えるロマンスは皆無で代わるロレンスの少年愛嗜好も半端。その歪や…

SCOOP!

★★★ 2016年10月2日 MOVIXあながさき11 継承の物語であることを終盤いきなり持ってこられても気持ちはついてけない。キャパ話だけでは弱いのだ。伊丹な劇伴に乗ったウェルズな冒頭やヒッチな屋上盗撮など魅惑的な細部は多い。演技も力演のアンサンブル…

ヤング・アダルト・ニューヨーク

★★★★ 2016年10月22日(土) 新世界国際 まがりなりにも先頭を走ってきたつもりで自負もある。 若い世代を中二病だとか揶揄してみても所詮は似たり寄ったりだったのだ。 ジェネレーションXの突端に位置する者として身が切られる。 なめてかかった若造どもが結…

コンテンダー

★★★★ 2016年10月8日(土) 新世界国際劇場 絶対に譲れないと思っていても変節はいとも簡単に訪れる。そういう弱さを映画は非難 めいた視線では見ていない。甘いも酸いも汚濁も清廉も世のシステムに剥き身を晒し 苦闘するしかない。ケイジの南部との親…

ロミオとジュリエット

★★★★ 1974年11月23日(日) 伊丹グリーン劇場 1990年3月31日(土) 朝日会館 それほど感興が涌かない古典題材もアイデア次第で蘇る。役柄と実年齢が同じ少年少女を使ったという一点でこの映画の勝ちが決まった。若さの弾けんばかりの瑞々しさが画面からほとばし…

この世界の片隅に

★★★★ 2016年12月5日(月) MOVIXあまがさき5 戦中戦後の運命に翻弄される1人の女性の年代記として新しいものでもない。 むしろ映画の世界では鉄板の題材だ。 多くの出来事を彼女は従容と受け入れていく。 殊更に受動的なわけでなく、それなり…

わらの犬

★★★★ 1976年12月21日(日) ビック映劇 主人公の衝動が暴発へ向かうトリガーは多分に言い訳がましいが、前段の妻を巡る執拗な確執があって違和感を減殺してる。ショットガンでの殺戮からラストまで正にペキンパーの独壇場だが、前半のフラッシュバック多用はく…

水戸黄門 助さん格さん大暴れ

★★★★ 2016年10月22日(土) 新世界東映 どうにもジャニーズ風弘樹&欣也が気持ち悪く入り込めなかったが渡辺マリや田中春男の異形使いが毒をもって毒を制しハイテンション街道を驀進する。疾走の沢島モンタージュに遺漏なく前衛に迫り、大オープンセ…

アダム・ニー Adam Nee

生年:/// kenironkun.hatenablog.com

ミュージアム

★★★ 2016年11月19日(土) 梅田ブルク7シアター3 和製何とかという呼称がロクでもない評価であると解っている筈である。 でも俺はそんなことはどうでもいいと思ってる。 古来アルチザンとはそういうものではなかったのだろうか。 大友啓史とは多分何の内実…

イレブン・ミニッツ

★★★★ 2016年9月12日(月) シネリーブル梅田1 時制の反復や彼岸と此岸の融解など既視感ありのテクを詰め込んだ精緻なバッタもんやんけとも思うし大風呂敷広げてその程度かとも思うのだが、それでもスコリモフスキ爺さんのしてやったりでダークな無邪気さは…

永い言い訳

★★★★★ 2016年11月5日(土) TOHOシネマズ梅田8 売れっ子作家が妻の死によって自分の人生が実はカラッポだったことに気づかされる話…では終わらない。 妻への愛情はもうとっくに無いと高を括っていたが、その瞬間から愛人は去り著作のアイデアも枯渇する…

暗黒街のふたり

★★★ 1975年1月26日(日) 伊丹グリーン劇場 ジョヴァンニの権力嫌悪が露骨すぎて為にする感濃厚な展開だが、それでも主人公の被虐を噛み締めるような水もしたたる面持ちが相変わらずの見せ所だ。情緒を排した終盤の畳み掛けるような展開も冴える70年代に量…