★★★ 2024年1月19日(金) 大阪ステーションシティシネマ7
キャリアは終わったなと思われていたアレンにも救いの手を差し伸べる人がいたんや、ってことで取り敢えず良かったと思いますが、出来に関しては今一冴えないと思います。
浮気する妻との冷えゆく関係と、一方で若い女性との嬉し恥ずかしは、いつものアレン映画で良い。演じるウォーレス・ショーンも過不足ないが、妻ジーナはともかくエレナ・アヤナにもう一華あればと思わせる。が、まあしかし今のアレン映画に出てくれる女優ってだけでも恩の字なんでしょう。
ただ、今更ながらの映画愛ってのが手垢つきまくりで、聞き飽き見飽きのフェリーニ、ベルイマン、トリュフォー、ゴダール映画の場面もじりで連ねられる。年寄りの繰り言みたいで何の刺激もない。ブニュエル「皆殺しの天使」がちょっと面白い程度。
かつてアレンは、「インテリア」でベルイマンの、「世界は女で回ってる」でフェリーニのフォルムと精神をものの見事にトレースして見せたけど、今回のような場面の再現パロディみたいなのはお門違いだった筈です。もう、焼きが回ったと言うしかありませんな。
捲土重来を期待したいけど、日本ではおらんのかいな、金出すから日本で撮れ言うやつは。でも、まあ無理やろね、今の日本の迎合的な風潮の中では。
今いち華に欠ける親爺の恋バナであるが、片やイソイソ片やヤキモキの狂騒はアレン映画として取り敢えず過不足ない。しかし、今更の映画愛としてシーンパロディ準えて取り上げられた作品群がホンマに今更で年寄りの繰り言。焼きが回ったとしか言えない。(cinemascape)