男の痰壺

映画の感想中心です

沈黙の艦隊

★★★ 2023年10月4日(水) 大阪ステーションシティシネマ

健闘してるとは思うけど、同じ原作者の映画化作としては数年前の「空母いぶき」の方を買う。あっちが仮想敵国から攻撃を受けたとき我々日本はどうするのかという命題に解を出そうとしたものであったのに対して、こちらは核の抑止力を使って恒久平和は実現出来るかとの問いかけなのだ、多分。原作読んでないので wiki 見てお話をざっと概観した限りではですけど。

映画は原作物語の序盤で終わるので何じゃこりゃの尻切れトンボなのだが、このまま続けても尻切れトンボで終わりそうな感じがする。世界平和の実現と他国からの侵略のどっちがあり得るか。理想論と現実論、答は明らかだと思うんです、俺は。

 

ミステリアスな導入だが貯めが不足。クライマックスは米第7艦隊との攻防であるが、やっぱ同盟国ってのがある為か何となく出来レースに思えてしまう。そのへん中国(映画では何とか連邦になってましたが)を念頭に置いた「空母いぶき」の方が切迫味があるんです。

 

大沢たかおですが、確かに「キングダム」の彼は異様な存在感を放ってます。でも、それは人間としての圧というよりはヘタウマ的な異彩感だと思うんです。今回、1人の男が世界と対峙する、その思い込みの深淵はあんまり感じられませんでした。一方、予想外だったのは防衛大臣夏川結衣。こんな抽出しも持ってるんやね。

 

余りに帳尻をつけない尻切れトンボな結末は続篇ありきの舐めたもので、仮にこの先続いたとしてもロクなもんになりそうもない。海江田の思想の一端でも見せるべきた。海自の協力による実艦のリアリティ、米人キャストの踏ん張りなど健闘してるとは思うのだが。(cinemascape)

 

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