男の痰壺

映画の感想中心です

2017-04-01から1ヶ月間の記事一覧

突破口!

★★★★ 2016年4月29日(金) プラネットスタジオプラス1 簡潔にしてクール&ドライなのに70年代のアバウトさも兼ね備え味わい深い。背景を語るカットバックなぞ野暮の骨頂とばかりキャラの書き込みで十全に補うのが粋だ。特に傍系の女3人の起ち方は惚れ…

竜馬暗殺

★★★★★ 1979年11月24日(土) 伊丹ローズ劇場 豪雨が吹き荒れるメインストリームから一旦脇に逸れ、束の間の緩い陽だまりに身を委ねる。それは泥濘の中の山椒魚みたいな体たらくだが心根は据わっている。ブロウアップされた16モノクロの粗いわだかまりの連鎖…

スウィート17モンスター

★★★★★ 2017年4月28日(金) シネリーブル梅田4 恋い焦がれたイケメン男子に手ひどく振られて、気づいてみりゃあ手近な安パイ男子で妥協。 世の中の男女交際のほぼ普遍な真実を描いております。 その映画の骨子に目新しさはない。 周りに何一つ共感できず、…

LOVE 3D

★★★ 2016年4月23日(土) シネリーブル梅田3 さすがに同じコンセプトで3度目となると、そのウジウジと粘着ぎみに引きずる性分が大概にすればと思えてしまう。いいかげんループする世界から脱却してほしい。2D鑑賞だったがSEXのスペクタクル化はほぼ無…

男はつらいよ 寅次郎かもめ歌

★★★★ 1980年12月30日(火) 伊丹ローズ劇場 1993年1月31日(日) 日劇会館 傍流とも言うべき作品ではあるが夜間学校という題材を描くに相当に腰が据わっており又松村達雄が好演で見せる。しかし、哀感ただよう伊藤蘭が兎に角可愛い。薄暮の橋の上でピンクのカー…

最高殊勲夫人

★★★★ 2017年4月22日(土) シネヌーヴォ この時代のサラリーマンってのは、高度成長を背景に我が世の春を謳歌してたんでやんす。 男も女もとことん前向きっす。 すぐに求愛するし、振られてもメゲないし、2股3股当たり前だし、競争大好きだし。 陰々滅々と…

アイアムアヒーロー

★★★★ 2016年4月23日(土) TOHOシネマズ梅田2 『WWZ』との類似を感じる序盤だが細部の小ネタが豊穣で2番煎じ感を払拭。死肉の山を踏みつけて腐った肉汁が染み出るような臨界まで迫った描写はカースタントの特筆すべき出来ともども溜飲だ。ギャグと真の…

アデルの恋の物語

★★★★ 1977年9月23日(金) 大毎地下劇場 叙情的で随筆的なトリュフォーの特質は強固な物語に引きずり回され神がかり的なアジャーニに身を委ね影を潜めるが、それは、映画史に於ける一つの神話の創造への敬意を思わせる。文豪の娘という設定に従ずる手紙という…

人魚姫

★★★ 2017年4月22日(土) 新世界国際 前作「西遊記」にもCG依存が顕現し危うさを感じていたのだが、もうここまで使いまくりでは映画に対する姿勢が怠惰だと感じる。 「少林サッカー」的な女性の異形性への偏愛と一方で笑いのめす加虐性の混在は復活したが…

.シビル・ウォー キャプテン・アメリカ

★★★ 2016年5月4日(水) 大阪ステーションシティシネマ4 ヒーロー論は即ちに戦争論にすり替わる危うさを秘めてるなぞとお固いこと言う気もないが、結局は私怨に収束する展開になんじゃ?と思うのだ。CアメリカとWソルジャー絡みの殺陣はマーベル史上最高…

田園に死す

★★★★ 1977年8月14日(日) 毎日ホール 1991年6月9日(日) 毎日文化ホール 故郷を棄て母を棄てた思いが、自責や懐旧のセンチメンタリズムではなく分析的且つ冷徹な視線で語られる。一方、イメージは超絶に土着的で猥雑であるが又過剰に絢爛で豊穣なのだ。そのア…

祇園囃子

★★★★ 2017年4月22日(土) シネヌーヴォ 女を描くと言うより祇園内部の力学構造と、外部との関係性を解き明かす政治性の高い映画だ。 ただ、根本的に芸妓という職業が木暮や若尾が拘る体を売るという呪縛から解かれていたとは思えないので、そんな綺麗ごと言…

読書記録 2017春

漁港の肉子ちゃん(西加奈子) 男子の本懐(城山三郎) 悪人(吉田修一) 老人と海(アーネスト・ヘミングウェイ) 鍵のない夢を見る(辻村深月) ゼロの焦点(松本清張) ガール(奥田英朗) 串刺し教授(筒井康隆) 四日間の奇跡(浅倉卓弥) クリスマス・カ…

ウンベルトD

★★★★★ 2016年5月5日(木) プラネットスタジオプラス1 矜持だけは残存するが最早生き抜く術を失した老人に対するデ・シーカのサディスティック視線は冷めた世間の衣を借り十重二十重に炸裂する。それでも愛犬依存な能天気ぶりがブラック。しかし少女の心折…

八つ墓村

★★ 1977年10月30日(日) ダイニチ伊丹 70年代に於ける現在形の日常から戦国時代の因襲引きずる閉ざされた村の非日常へと、そのコントラストを際立たせる為のショーケン起用であり又スプラッターな殺戮描写だったのだろうが…巧くない。洞窟探しばかりして気…

未来よ こんにちは

★★★★★ 2017年4月17日(月) シネリーブル梅田1 イザベル・ユペール。 もう、60代の半ばであるから、立派なおばあちゃんである。(この映画でjは50代後半の設定だが) ゴダールやシャブロルに寵愛された80年代から知っているが、若干不思議ちゃんが入…

レヴェナント 蘇りし者

★★★★★ 2016年5月7日(土) 大阪ステーションシティシネマ10 復讐を描いてるのだが、それは終盤にしか機能しない。彼が臨死からほうほうの体で生還するのは根源的な生存本能に依り、人間はそうやって種を維持してきたのだという節理を描く。過酷な自然は牙…

仁義なき戦い

★★★★ 1978年11月23日(木) トーエイ伊丹 1991年7月21日(日) 新世界東映 キャラ立ちした梅宮と松方の挿話2部構成を縦走する文太の立ち位置が退き過ぎず出過ぎずで、ド太い骨子になってないのが弱いと見えて実は微妙に味があるという深淵なキャラ付け。深作も…

パッセンジャー

★★★★★ 2017年4月8日(土) 大阪ステーションシティシネマ8 自身のストーカーと結婚した女性の話(実話)を以前TVでやっててたまたま見た。 そんな話と言ってしまえば身も蓋もないのだが、そんな話です。 そう言うと眉をひそめる向きもあろうが、俺は思うん…

ヘイル,シーザー!

★★★★ 2016年5月16日(月) TOHOシネマズ梅田6 ブローリンは平凡な市井人だしクルーニーは取り柄ない凡優でメインのストーリーは見所も無い。一方でテイタム・スカヨハ・エーレンライクの挿話は冴えまくる。歴史的に赤狩りが否定された現在。コミュニズ…

絞死刑

★★★★★ 1979年9月2日(日) SABホール 制度や差別への言及を仮初とは言わぬが、大島が徹底して拘るのは「反権力」の一点。それは観客への強烈なアジテートとなり俺達を揺さぶる。技巧の冴えも突出し閉塞空間からロケへの空間転移は鮮やかの極み。ロジカルな…

午後8時の訪問者

★★★★ 2017年4月8日(土) テアトル梅田1 ダルデンヌ兄弟の映画は、恥ずかしながら前作「サンドラの週末」が初見であった。 で、今作であるが、えっ又?と思った。 「サンドラ」でコティヤールが解雇撤回への賛同者を求めて1人彷徨する。 「8時」ではエネ…

刑事マディガン

★★★ 2016年5月7日(土) プラネットスタジオプラス1 現場と女房の家庭と現場と愛人のアパートと現場といったのんべんだらりなマディガンの往還に切迫感がないので途中で何の事件だったかも忘れてしまうという、ある意味で仕事に追われる市井人のリアリズム…

青い珊瑚礁

★★★ 1980年12月21日(日) 伊丹ローズ劇場 何のヒネリもない物語を奇を衒わない平板な演出で押し切っている。毒もそっけもないにせよ絵葉書みたいな南海の風光に魅せられて飽きない。割り切ったアルメンドロスの仕事ぶりも好ましく海中撮影、わけても蛸が蟹を…

ゴースト・イン・ザ・シェル

★★★ 2017年4月9日(日) MOVIXあまがさき7 「攻殻機動隊」を20年前一応見ているのだが、まあ当時もなんかようわからん …というのが正直なところであった。 で、今回だが。 わかりやすーい! ってことは、時代が追いついたのか、はたまた俺が? とい…

太陽

★★★ 2016年5月7日(土) シネリーブル梅田4 四国=北朝鮮と読めば在日の今を暗喩したようにも見られ同化もあり共存もありという今更展開で、又SFの設定とすれば尚更に陳腐。だが、閉塞した地方共同体の煮えきらぬリアリズムが一方で死臭のようなドス黒い…

ベンジー

★ 1976年12月28日(火) 伊丹グリーン劇場 動物を擬人化して描く胡散臭さに目を瞑っても余りにベンジーが良い子ちゃんを演じてるのが明らさまで飼い馴らされることに迎合的なのが不愉快。何よりこんなしょもない映画がヒットすることで調教師のデブ爺がどえら…

アシュラ

★★★★★ 2017年4月8日(土) シネマート心斎橋2 日韓合作の西島秀俊主演の「ゲノム・ハザード」ってのを観てて、その監督がキム・ソンス。 だから、少しなめてかかってたんやけど、この映画の監督キム・ソンスは別人みたいっす。 まあ、主演チョ・ウソンが西…

テラフォーマーズ

★★★ 2016年5月15日(日) MOVIXあまがさき4 『ゼブラーマン』の域には達せぬが『ヤッターマン』程度にはオモロイ。が、そもそも ゴキブリがどう進化すりゃあんなマッチョな二足歩行になるねん…という疑念が終始 チラつき鑑賞の妨げに。多くのレア昆虫…

鉄道員

★★★★ 1980年7月12日(土) 毎日文化ホール 人の営為なんて苦難続きなのだが、問題を若干は解消し大半は折り合いつけ生きていく。そして、ささやかな未来への展望に安堵するのだ。少年の真摯や姉の憂いや兄の反抗や母の慈愛が錯綜し軋轢が生じるが親爺はギター…