男の痰壺

映画の感想中心です

千姫と秀頼

★★★★ 2020年7月4日(土) 新世界東映

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千姫と秀頼とあるが、秀頼は冒頭で消える。

がっつり千姫物語です。

歴史とか疎いので、千姫のこともよくは知りませんが、wikiとかで調べたのとはかなり違うみたい。

映画は概ね、千姫と5人の男との関わりにまつわる話として構成されている。

豊臣秀頼中村錦之助

②板崎出羽守(平幹二朗

本多平八郎(菅貫太郎

④片桐隼人(高倉健

徳川家康(東野栄治郎)

ざっと概略するなら

⑤の孫娘の千姫は8歳で秀吉の三男①へ嫁にやられ、仲睦まじい夫婦であったが、大坂夏の陣で①は殺されで②に救出される。②は褒賞で千姫を嫁にもらうつもりだったが、⑤の奸計で謀殺され、千姫は③と結婚させられる。が、体も許さぬ千姫に③は自棄になり放蕩の挙げ句に病死。①②を、忘れられない千姫は、⑤への怨念を募らせ、狂った姫を自己演出、無慈悲に町民を殺します。そんなとき豊臣側の生き残り④に生き様を諫められる。そしてこうなったら殺っちやえと祖父⑤の命を狙うのであった。

とまあ、自我の固まりであります。

 

前半は、耐える状況が続いてあんまり面白くない。が、③の病死以降、突き詰められた怨念が暴発して映画も躍動し始める。

余興を披露しにきた町人をやおら切り捨て、姫ご乱心の場は、マキノもここぞとばかりの長い移動撮影で勝負に出た感があります。

以降、終局までの畳み掛ける展開も良い。

敢えて★1つ加点しました。

 

忍従の日々を強いられる前半は、平幹&菅貫のマイナスオーラが場を圧して鬱屈感が横溢ししんどい。しかし中盤以降、抑制が解かれた姫の自我は解放され映画は躍動を始める。町人を斬って捨てるに及ぶ姫ご乱心の場は演出も此処ぞばかりの大構えな外連。(cinemascape)

 

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