原作知らないし、DJになんの興味もない。クラブなんてのも行ったこともない。その昔、ディスコと呼ばれてたころは行ってましたが。敢えて言うならトンカツは好き。
そんなおいらが、度重なる関係者の不祥事報道に心を痛めつつ公開を心待ちにしてたのは、「チワワちゃん」の演出が素晴らしかった二宮健の監督作だから。もう、その1点につきます。
で、がっかりしました。この程度かよって思いました。
ジャンプ掲載の漫画が原作らしいが、元気いっぱい主人公が目標に向かって邁進し叩き落とされ挫折し仲間たちのサポートあって立ち直り目標達成、そんで憧れ彼女もゲットだぜ、という呆れ返るまでの古式床しい少年漫画マター。
これをまともに何の変則も加えずやってるのが驚きで、二宮の映画作家としての矜恃さえ疑わせる。トンカツにせよDJにせよそれなりの本物への拘りはあったようだが、フェチズムが足りない。もっとフェチズムに塗れてほしい。それしか、このクソくだらない話から何某を抽出する方法はなかったんじゃないかと思えるんです。
主演の北村匠海が柄でなかったのも痛かった。
こういう役に挑む気概は買いたいが、本人の資質とはビタ一合うところがない役どころに見えた。結果、皮肉なことに問題を起こした伊勢谷と伊藤の力量が際立ってしまった。特に伊勢谷はこういう3の線を混えた役どころも演れることをしめす好演だったと思う。キャリアを拡張できるターニングポイントだったかもしれない。残念です。
フロアをアゲるとトンカツ揚げるの共通点を本気で紐解く気がなく各々の修練が並置されるだけで空虚。結果、仲間と共に落とされ這い上がり彼女もゲットの凡庸な少年漫画マターが前面に出た。匠海の能天気演技も激しく柄じゃない。伊勢谷は良いのにね。(cinemascape)