男の痰壺

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コレクションする女

★★ 2021年7月19日(月) テアトル梅田2

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イジイジと内向していく青春の悶々と自意識。

彼女のことが気になって仕方ないのに高踏的な言句に依って立つ振りをやめられない。おそらく、ロメールやシャプロル、ゴダールといったヌーヴェルバーグの面々の俺たちってこうだったよねを素のままフィルムに刻印してしまったような作品で、居た堪れないと同時に、それでも作っとかないとしゃーないという通過儀礼的なもんでもあったんだろう。

後年のロメールなら青汁したたるような自意識は高みからほくそ笑むように客体化してみせるのだろうが、どっぷり浸かって辛抱たまりません。

 

それでも終盤の2シークェンスは鮮やかで、やっぱ俺らアホやったわという自省の悔恨を叩きつける。

でも、それまでがしんど過ぎます。

 

青春のイジイジ悶々が高踏的な言句を纏わないと表出できない。姉ちゃん一発やらしてーなの思いを隠匿し孤独な安寧に逃げ込む日々は望んだもののはずだが。ヌーベルバーグを形成する同時代知識人たちの自戒が照射される終盤2幕。そこだけは鮮やかすぎる帰結。(cinemascape)

 

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