男の痰壺

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ミッション:インポッシブル フォールアウト

★★★★★ 2018年8月12日(日) MOVIXあまがさき11
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冷静に考えれば出来すぎやんと思ったりもする。
しかし、肉体を酷使することを厭わず誠心誠意のマックス値をスクリーンに刻もうとする意志。
それが、不可能作戦の遂行を茶番に見せないのだ。
CGに依拠した現代の映画作りへのアンチテーゼとして素晴らしい達成となった。
 
パリでプルトニウム仲介人のホワイト・ウィドウとの接触をはかる件。
例によってマスク製造機を使おうとするが、ぶっ壊れてしまって使えない。
ハイテク機器や子供じみた奇矯な秘密機器との決別宣言に思える。
 
以降、バイクや車、銃や打撃技、そして脚での走行。
ひたすらにローテクを駆使し切っての戦いが釣瓶打ち。
クリストファー・マッカリーの演出は「アウトロー」は買うが「ローグ・ネイション」は微妙であった。
細緻な芸は無い。
この映画でもまったくもってオーソドックスに徹している。
しかし、パリでの逃走シークェンスは劇伴を消して効果音のみで一貫する。
自信の表れとも見えるが、むしろ本気汁ダダ漏れしてると感じた。
アクションが分厚いのだ。
 
婦人警官との対峙シーンで信義則の貫徹の根底に逡巡や苦悩が垣間見えるのもいい。
労苦を回避し続ける現代への疑念が根底にあるのだろう。
本当にいい仕事をしたと思う。
文句なくシリーズ最高作。
 
珍奇なハイテクや生温いバディ感に陥ったシリーズの隘路を肉体の酷使やローテクの容量超えの活用により打破する試みであるのだが、一方で非情の信義則とでも言うべき正しき殺戮にも言及。どう見せるかでなく内実が見せ方を選ぶ重厚なアクションの連鎖が快楽。(cinemascape)