★★★★★ 2020年1月25日(土) 梅田ブルク7シアター7
舞台は未見だし、楽曲も「メモリー」は耳にしたことがあるが他は知らない。
当然にストーリーもどんなもんかは知らなかった。コアな舞台ファンからしたら門外漢であります。
前評判は散々であったし、実際繰り返し見た予告篇は確かに違和感があった。
舞台なら、人間の演じる猫も約束事として脳内変換される。映画も、その線をゴリ押しする手もあったと思うが、CGを駆使して扮装を半端に溶け込ませてしまったので、猫というより猫人間になってしまった。なので、なんだか気持ち悪い。
が、オープニングの最初の楽曲がすすむにつれて、そんなことは気にならなくなった。
元来、俺はロイド・ウェーバーの旋律が大好きなんだと思う。
学生時代に見た映画「ジーザス・クライスト・スーパースター」のサントラ盤のLPは耳にタコができるくらいに繰り返し聞いたもんだから、のっけの「ジェリクル・ソングス」から初聴にもかかわらずどストレートに入ってくる。
ジュディ・デンチ、イアン・マッケラン、ジェニファー・ハドソン、テイラー・スウィフト、イドリス・エルバといった役者や歌手としての有名どころも出ている。
が、しかし、やはり図抜けているのは、それ以外の面子が繰り出すナンバーだ。
・雄雌ネコのドロボー猫と主役ヴィクトリアが繰り広げるナンバー。
・汽車好き猫が超絶タップを繰り広げるナンバー。
この3つはツボであった。堪能した。
総じて幕間的なドラマ部分がほとんど無い。ナンバー尽くしでダレる間もない。
選ばれた猫が毎年1匹天上に召されるという。
これが、このうえない至福とされているのだが、若い主役の猫ではなく、不幸な人生を過ごしてきたジェニファー・ハドソン猫が「メモリー」を歌って選ばれる。
現生もあの世も猫世界では境界がないってことだろうか。残酷で奥深いものがあるが、面倒なので考えないことにした。
ジャンキーの白日夢ギリの猫又パラレルワールドは彼岸と此岸の境界が融解し死生観までも転倒する。その世界を縦走するロイド・ウェーバーのメロウ楽曲が幕間なしでドライブし辛うじてこっち側に繋ぎ止める。数多のタレントが結集した真ドラッグムービー。(cinemascape)