男の痰壺

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ミッドウェイ

★★★ 2020年9月13日(日) MOVIXあまがさき10

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エメリッヒとマイケル・ベイってどっちがどっちだったかわかんなくなるのだが、「パールハーバー」がマイケル・ベイですか、未見ですが。何れにしても、両方ともドッカンボッカン大好きの深く考えるタイプじゃなさそうなので、そんな映画だと思って見に行きました。

そして、やはりそんな映画でした。

歴史を紐解くようなポリティカルな視座はほとんどない。日本軍の暗号を解読したことが形勢を決したようだが、その解読に至る過程はお座なりであります。

だが、冒頭で真珠湾攻撃から描かれるにしては、卑怯千万なジャップ野郎みたいな情緒的なモーメントもあまりない。日本市場を意識すればこういう描き方になるんだろう。

結果、淡白な戦局の羅列に終始するしかないわけです。

 

エメリッヒは急降下爆撃機の機載映像に刺激を受けて、この映画を撮るモチベーションに結びつけたと言っている。実際、本作の白眉は急降下爆撃のシーンで、そこはものすごく力が入っていたと思います。

その他、空母からの発艦の際、艦速が足りず海中に飲み込まれる僚機など、新鮮なエピソードもありました。

 

篇中、作戦に従事している海軍パイロットたちが、あいつら何してるんやと沖合の空母を見て言う。それは、空軍のB29で、彼らは海軍の作戦とは別働で日本の本土に焼夷弾を撒き散らしに行くわけだが、焼夷弾積みすぎて帰りの燃料積めない。仕方なく中国大陸に降下して現地のパルチザンと合流する。

中国資本も入った映画だから、中国人もどっかで出さないと仕方ないのかも知れんが、原爆投下と並ぶ歴史的ジェノサイドの背景として描かれたにしては余りにお気楽で、日本人としては引く部分ではあります。

 

双方向に気を遣った戦局羅列映画で本当は局面の間にあったことを考察せねば今撮る意味もない。大局観に欠けるエメリッヒの志向はディテールへ向かい急降下爆撃の描写は見応えあるし発艦失敗の件など目新しい。東京空襲の空軍挿話は忸怩たるものがあるが。(cinemascape)

 

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