男の痰壺

映画の感想中心です

新感染半島 ファイナル・ステージ

★★★ 2021年1月3日(日) MOVIXあまがさき3

f:id:kenironkun:20210103215518j:plain

祖国が消失し国民が流浪の民となる。「日本沈没」後日譚のような発端。そして、ゾンビたちに占拠された半島にやむなく命じられて舞い戻る「ニューヨーク1997」な設定。
どちらも、大構えな活劇要件を充足させてくれる。
そして、乗り込んだチームは、主人公を残して瞬く間に全滅。いいねー萌えるわー。
 
って、考えてみたら、これらみーんな、どっかで見たようなプロットばっかやんけー。勢いと展開の速さで粉飾されてるけど。
 
今回、対ゾンビ戦というより、半島に残って蛮族と化した軍隊との戦いが主軸で、ゾンビは双方が利用するアイテムに成り下がってる。なのであんまり怖くありません。
 
一方で、大きくフィーチャーされるのは、愛する人、大事な人を見殺しに或いは見捨ててしまったことへの痛烈な心の痛みであり、我々日本人、わけても阪神大震災や9.11のような災禍を体験した人たちには、その痛みは通底するものです。
ただ、ラストにしても余りに大仰で嘘くささスレスレなのが惜しいっす。
 
超絶ドライブテクを駆使するクール少女が出てくる。調べたら「犬どろぼう完全計画」のイ・レちゃんなんですなあ。将来が楽しみです。
 
『ニューヨーク1997』的な骨子のなか残留軍人との攻防が主線となり、ゾンビたちは脇に追いやられ怖さもグロさも後退。代わりに見捨てたことへの苦悶が幾重にもフィーチャーされる。故国の消失という悲劇が基底にあるのも重い。しかしベタだしCGも安い。(cinemascape)