★★★ 2021年3月31日(水) 梅田ブルク7シアター4
予告篇であんだけ煽るもんだから、どんなドンデン返しがあるのかと期待値も高まってしまいました。
【以下ネタバレです】
派閥抗争の片側についていた大泉洋が策を弄して相手方を潰す。
であるがついていた方もとどのつまり潰すつもりであった。
意外性がないけど見せ方によっては訴求できる骨子ではある。
しかし、その背景に紙媒体の衰退によって変わらねばならない出版業界みたいな生な問題を提議したもんだから一気に馬脚を露呈してしまった。
そこに踏み込むならアマゾンと提携するみたいな表層を上滑るだけの話でなく、もっと本質を抉るような何かを呈示しないとお話にならない気がします。
結果、スーパーエクセレントなエクストリームタレントを有する作家のリリー・フランキーと池田エライザに全てをおっ被せる旧態な解決しか出てこない。
なんでも原作は大泉洋に当て書きされたものであるのに、大泉洋は大泉洋を演出で封印されたとかで、結果として普段の大泉洋の6掛けくらいの弾け具合を抑え込まれた芝居になった。ミスディレクションじゃなかろうか。
代わりに松岡茉優は松岡茉優らしさを伸び伸びと解放しきっており、これはもう頭のてっぺんから尾っぽの先まで松岡茉優を堪能する映画。その点では満足しました。
リアルワールドで苦境に立つ出版業界が生き残る術とはみたいなところに踏み込んで馬脚を現した感が拭い難い。パワーゲームの主線で暗躍する大泉がらしさを封印されハッチャケ切れぬのも映画を封殺した。ただひたすらにノーブルな松岡茉優が良いだけ。(cinemascape)