男の痰壺

映画の感想中心です

追悼 千葉真一

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高校生のとき「仁義なき戦い」5本立てを近所の映画館に見に行った。朝一の上映が第5作「完結篇」から始まるという嘆かわしい時間組で、仕方なくそれから見たのだが、もう誰が誰で何が何だかさっぱりわからない状態で5本見たのだけど、その中で圧倒的に強烈な印象を俺に刻印したのが「広島死闘篇」の大友勝利こと千葉真一であった。

「完結篇」で再登場する大友役は何故か宍戸錠に代わってしまい、千葉は第2作にしか出ていない。

脂ぎった顔と凄まじい目力でまくしたてるこの時の千葉は完全にいっている。何しでかすかわからない狂気が充満しまくっていた。

 

その後、スクリーンで千葉を見るたび、俺は大友勝利の残像を彼の中に探し求めていたと思う。「沖縄やくざ戦争」のようなセルフ完コピもあるにはあったが、概ねの彼は単なる思い込みバカにしか見えなかった。その思い込みが錦之助のような偏固な一徹とガチにスパークした「柳生一族の陰謀」みたいな畸型もあるにはあったが所詮は徒花であった。

 

JACを創設して真田広之志穂美悦子を輩出させたとか、タランティーノにリスペクトされて「キル・ビル」に客演したとか壮年期以降の功績やエピソードも多々あったかと思うけど、俺にとっての千葉真一とは「仁義なき戦い」の大友勝利で、そのイメージの再びの降臨を待ち続けていた役者だったんです。

シリーズで唯一無二のキャラを1作だけ残したのも千葉真一らしい。ご冥福をお祈りいたします。