★★★★ 2017年8月17日(木) シネヌーヴォ
「しとやかな獣」<「愛の渇き」<「家族ゲーム」<「テオレマ」
まあ、脈絡のない比較だが、そんなところか。
とにかく、蔵原繕惟の特集上映を見に行って拾いもんだと思った。
のっけから変態臭がむんむんしております。
高評価を得たらしい三島原作。
今年、奇しくも「美しい星」が映画化されたが、あれの何倍もイケてる。
財閥とまではいかないまでも関西の大地主一家はプチ・ヴィスコンティもどきに爛れまくってる。
阪急宝塚沿線の服部駅(当時は服部霊園駅だったんですなあ)が出てきます。
主人公の浅丘ルリ子がとにかく怪演だ。
奥様然として若い園丁をたぶらかすんだが、じらしにじらして、いざその気になりゃあ逸らす。
逸らすどころか本気で逃げる。
なんやねん、この女ってな感じですが、首尾一貫してるんでしょう…三島先生の頭の中じゃあ。
俯瞰のカメラが多用されるが、空撮も含めて極めてアンバランスなのが良い。
もう少し世界観が拡張してくれたら傑作だったのにと思う。
プチブルの斜陽を描き変態臭がむんむんするヴィスコンティ擬きな爛れ。奥様然として園丁誑かし焦らし逸らし挙句逃げる。何やねんこの女なルリ子の怪演。俯瞰カメラのアンバランスは箱庭の歪みを表象する。もう少し世界観が拡張してたらド傑作だった。(cinemascape)