男の痰壺

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アウトレイジ 最終章

★★★★ 2017年10月8日(日) MOVIXあまがさき11
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前作「ビヨンド」の美点の1つであった沸点キワキワなテンションでの台詞の応酬。
それを中心で担ったのが西田と塩見だったと思う。
その2人が病み上がりでゼーゼーしながらやっとのことで言う台詞は味があるっちゃああるが矢張りキツい。
 
又かのたけしの厭世ヤクザは前作の「座頭市」的なトリックスター風味は消えて「ソナチネ」の自己模倣だ。
そこに、今更の感慨は無い。
だって、この人たぶん今では「死にたい」なんて更々思ってなさそうだもんネ。
 
一方で、花菱会の内紛が中盤を引っ張るのだが、これもよくあるストーリーラインだ。
だが、先述の病み上がりの2人が一種の異様な逸脱感を醸し出す。
特に組長と若頭の間で右往左往させられる若頭補佐の塩見。
その苦渋に充ちた表情は笑っちゃうほどに只事ではない。
 
2人の計算外の怪演に助けられた作だと思うネ。
 
トリックスター化して昇天した男が下野し形骸化した厭世観を又ぞろ引っ張り出した。加えて前作の台詞バトルの立役者西田・塩見が病み上がりで息が上がりキッツい。だが、その2人が一種の異様な逸脱感を醸し出す。苦渋が周回して笑いに転化するのだ。(cinemascape)