★★★ 2019年4月5日(金) 梅田ブルグ7シアター6
売れっ子監督が来た仕事なんでも受けてやるうちに陥る隘路。
明らかに調子に乗りすぎやろう。
斎藤工の念願の企画らしいが、彼はこの出来にほんとに納得したんやろか。
熱々のしゃぶしゃぶや目玉焼きの素手つかみ食いの気合が激しく空転する。
和田誠が監督した前作も公開時に見ているが、そんなに入れこんで見た記憶もない。
しかし、的場のドサ健や小松の出目徳の下手な物真似ショーめいたシーンが俺の隠れた情動を
呼び覚ます。
もう、その時点でこの映画の価値は大暴落するのであった。
そもそも、近未来の設定。
って来年じゃあ大して冒険するわけにいかんでしょう。
東京オリンピックが戦争が起こって中止になった。
…って、いくらなんでも無理ありすぎやし、土台、大風呂敷すぎてわびしい。
で、けっきょくは園子温めいた、地下アイドルとゲームのミニマムな世界観に収斂するしかないのだ。
はっきり言って、この可愛くもない子のリアリズムだけが、この映画での発見といっていい。
大して意味無さげな時制の往還は廉価な作りを曝け出し工の熱々しゃぶしゃぶ&目玉焼き素手喰いを激しく空転させる。そして又かのゲームと地下アイドルの矮小化された世界に収斂・閉塞される芸の無さ。安手のコピーに終始する演者の中ももだけは買い。(cinemascape)