男の痰壺

映画の感想中心です

プルートで朝食を

★★★ 2006年8月19日(土) テアトル梅田2

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どうにも華やいだ雰囲気を演出が醸し出そうとしてあざとい感じがする。オカマとして生きて行くからって無理にでも華やいでいないといかんわけじゃなかろうにと思う。しかも意識して軽薄であろうとしてる訳じゃなく天然のアホみたく見えるのがまずい。(cinemascape)

 

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昭和残俠伝 死んで貰います

★★★★ 1992年10月25日(日) 新世界東映

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全部を見てるわけでもないがシリーズ最高作の謳い文句は多分本当なんだろう。しかし加藤泰みたく媚びたケレンは要らなかったのじゃないか。小津ほどスタイルを固辞しないでも全体の統制力を軽やかに堅持したマキノだから敢えて言いたくもなる。(cinemascape)

 

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アンジェラ

★★ 2006年8月19日(土) 新世界国際劇場

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人は一旗揚げて万能感に支配されると、こういう妄想を思い描いてしまうのであろうか…。苦節の時代の自分を投影し天与の恩恵に授かり幸福を得る。人生はそんなに甘いもんじゃないってのはベッソン以外の全員が知っている。(cinemascape)

 

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氷の微笑

★★★ 1992年10月24日(土) 池田映劇

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陽光のサンフランシスコの倦怠下の腐臭を描くにバーホーベンのベクトルは微妙にずれて、そのズレが快感とも言えない。ダグラスとストーンが頃合の疲弊感を漂わせただけに惜しい。取り調べ室のシーンだけが鋭角のコンテで図抜けてるのが歪だ。(cinemascape)

 

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デュエリスト

★★★ 2006年8月12日(土) 新世界国際劇場

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自己陶酔ギリギリのキザな様式世界には些か鼻白みつつも徹頭徹尾一貫して姿勢を貫徹するさまに多少心動かされもするが、矢張りどこかで退いてしまう。序盤の切り返しを多用したカッティングが魅せるのとジウォンちゃんの庶民的バイタリティに加点。(cinemascape)

 

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ほんとうのピノッキオ

★★★ 2021年11月15日(月) 大阪ステーションシティシネマ

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「ほんとうの」ってなにがやねん。普通のピノキオやないかい。原題も単に「ピノキオ」やん、ええかげんなことすなよ配給会社。

ってことで、「本当は怖い童話」みたいな先入観を持ってた俺はかなりがっかりした。なんせ本作の監督マッテオ・ガローネは毒ありまくりのダークファンタジー傑作「五日物語」をものにしておりますから。

とは言ってもピノキオの話もほとんど忘れてたので、おもしろくはあったんですが。

 

この映画がそれでも特異だと思われるのは、ピノキオをはじめ、コオロギやマグロに至るまで出てくるキャラをほとんど人間が人面で演じている。最初にピノキオが拾われる人形劇団の操り人形たちも全て人間で、糸で動かされているというより勝手に動いてる感ありありで、結果、自由のない憂き身のもの悲しさは倍化される。

道中でピノキオを策弄するキツネとネコもおっさんで、尾羽うち枯らした風情がたまらなく剣呑だ。俺は昔見たスタンリー・ドーネンの「星の王子さま」を思い出していた。あの映画でも主人公の子ども(王子さま)をたぶらかすヘビをボブ・フォシー、キツネをジーン・ワイルダーが演じておりました。

 

遊んでばかりのクソガキは、ろくなことになんねーぞってのが物語の骨子なので、ピノキオは良い子、悪い子を往還する。一旦真面目に勉強して成績も上がってきたが、悪童に誘われて遊びの国への誘いに乗り、さんざん遊び呆けて哀れロバにされる。このシーンのメタモルフォーゼの生な衝撃は「千と千尋」の冒頭シーンに連結するんでしような。

 

おじいさんの役をロベルト・ベニーニが演っていて、彼は自身の監督・主演で「ピノッキオ」なる映画を撮っている。おっさんのピノキオという不気味な無理筋で俺は未見ですが、拘りがあるんでしょう。このベニーニは抑えた演技ですごく良かったです。

 

ピノキオに関わる動物・魚貝・昆虫などを人間が不気味に人面で演じることで生臭い憂世の機微が表層化する。しかし、所詮は教導的な原作を逸脱するものではなくガッローネとしては物足りない。唯一メタモルフォーゼの衝撃は『千と千尋』の冒頭に連結する。(cinemascape)

 

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雪之丞変化

★★★★★ 1992年11月12日(木) サンポードアップルシアター

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映画的レトリックと純文学かぶれのアンビバレンスが解消された60年代市川の総決算とも言うべき大衆芸能お祭り映画。主演長谷川を十二分に立てつつ演出もキザでキッチュでオチャラケるという奇跡の併存。助演では山本富士子が全てかっさらう。

 

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