男の痰壺

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ポンペイ最後の日

★★★ 2020年11月7日(土) プラネットスタジオプラス1

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このタイトルを聞いて、ある程度のシネフィルが思い浮かべるのは、セルジオ・レオーネが「荒野の用心棒」の前に撮ったとかいうのがそういう題名だったなってことなんですが。

それではありません。

タイトルを検索すると何度も映画化されてるみたい。なんでも8回だそうな。

で、これは1935年の作で、「キング・コング」や「猿人ジョーヤング」を撮った監督の作品です。

 

ポンペイとは、ローマ帝国治世のイタリアで火山の噴火によって一夜で消え去った街。

当然、噴火がクライマックスだが、それまで延々描かれたドラマとは大して有機的に結合するわけでもない。色々あったけどドカンでなし崩しに終わります。

 

愛する妻と子を事故で失った鍛冶屋。剣闘士になって名を成し、リタイアした後、商人として成功する。もともと、金に執着がなかったのに拝金主義者になってしまいます。

その過程で、イエス・キリストがからむのが「ベン・ハー」みたいだ。イエスを処刑したピラトも主要な役で出てきます。

主人公の感情の変遷に主イエスが少なからぬ影響を及ぼす。これは、ハリウッドの帝政ローマを背景にした歴史劇において長いこと定番だった。あらためてそう思いました。

 

妻と子を愛し質素を好んだ鍛冶屋は剣闘士を経て拝金主義の奴隷商人に成り下がる。帝政ローマからの派遣総督ピラトとの結託下でイエスの処刑も諦観といった時代の錯綜するドラマトゥルギーは悪くもないが浅い。終盤の天変地異も取ってつけた感が已まないのだ。(cinemascape)

 

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