男の痰壺

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エターナルズ

★★★★ 2021年11月8日(月) 梅田ブルク7シアター3

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リアルワールドから遠く離れて、創造主がどうとかいった領域に風呂敷おっ広げた段階でマーベルへの興味は終わってしまったと思ってるし、直近の「ブラック・ウィドウ」を見て拭い難い黄昏臭を感じ惜別の思いを新たにしたのであったが。

クロエ・ジャオの監督ってことで一応観ました。で、意外に悪くなかった。

 

個別のキャラの物語が各々あって、その総括として「アベンジャーズ」があった今までと違い、のっけから多彩なキャラが出てくる。アベンジャーズ以降ということで従来のものと世界が完全に分断されているのも潔い。

まあ、それでも今までに増して大風呂敷なんですがね。

 

【以下ネタバレです】

人類の繁栄は一段階上のものによって描かれた餅であった。言わば人類は地球という農園の中で栽培された作物で、エターナルズの面々は、害虫駆除のための殺虫剤なのでありました。

 

この殺虫剤として制作されたエターナルズたちが、何万年も生きてきて今更に自我に目覚める物語なのだが、派手さのかけらもないキャスティングが功を奏して哀しみを纏い悪くない。クロエ・ジャオの本分が最も発動される領域であります。人種コードに拘泥するハリウッドメジャーの制作姿勢を疑問視する俺だが、これはその縛りを必然に転化できたケースと思われる。唯一のスター、アンジェリーナ・ジョリーを飛道具的なポジションに配置したのも良かった。

 

ラスト、またかの宮崎映画からの巨神兵が横たわる世界もそれはそれで悪くもないっす。

 

何万年もに亘る生き様は創造主が殺虫剤として作った捨て駒としてであった。マーベル大風呂敷の中で有りがち譚として見過ごせるがクロエ・ジャオは中共への忸怩たる思いと重ねたのか。派手さ抑え目の透徹された沈鬱はラストの巨神兵ナウシカと連結する。(cinemascape)

 

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