男の痰壺

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タバコ・ロード

★★★★★ 2022年3月26日(土) プラネットプラスワン

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ジョン・フォードに万全の信頼があるわけでもないので、どうせ地味な暗いコメディだろうくらいに思ってだけど、これは傑作だと思います。

とんでも家族の話って言えば、近年でも「万引き家族」や「パラサイト」とかあったけど、リアルにダメな連中が時代に呑まれてダメになっていく様は、虚構性が過剰でなくて惻々と身に沁みる。これに比べりゃあ前2作は、時代の包括的な刻印がフィルムに定着してたか疑問です。古い映画だからそう感じるだけかもしれませんが。

 

いよいよどん詰まりになって、長年暮らしたポロ屋を出て行かないといけないというシーンでは、俺自身の今の境遇が重なり胸に応えました。又、フォードはこういうシーンが本当に上手いんです。

 

最下層の貧農一家を描く映画だが、一方で曽ての富裕層の没落も点描される。そういう人たちも決して悪人として描かない。アメリカの良心が未だ信じられていた時代の理想郷だと思います。

 

アーサー・C・ミラーの撮影も絶品でローアングルの適宜な使用も冴えている。翌年の「わが谷は緑なりき」と並ぶモノクロの粋だと思います。

 

産んだ数も覚えてないほど子を育て送り出してきたが時代の波に呑まれ住む場所を追われる。バカで善良で極貧でモラルもない。悩みもするが明日になれば忘れる。それでも若しかしたら誰かが少しだけ手を差し伸べてくれるかもしれない。人生なんてそんなもんだ。(cinemascape)

 

 

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