★★★★ 2018年5月13日(日) MOVIXあまがさき5
「仁義なき戦い」への言及が見られたので予断があった。
のだが、所詮これは、やっぱり警察小説なのであった。
暴力団同士の抗争はあるが、ど真ん中にそれがあるわけではない。
であるから、終盤までは物足りなさを感じた。
抗争の圧倒的情報量の欠如が物語をスカスカにするとさえ感じた。
そして、予定通り役所が退場する。
ところが、映画はここから新たな文脈を獲得していく。
まあ、よくある継承の物語なのだが、予想外の王道展開が遂には「仁義なき」の呪縛を断ち切るに至るのだ、
蓮司襲撃の修羅場は本篇の佳境であろう。
撮影の寂寥感は十全。
美術も完璧。
『仁義なき』抗争集団劇として台詞の空隙と役者の弾不足が露呈する前半だが、中焦点多用のカメラの包括性と美術の踏ん張りが救う。終わったかに見えた終盤、俄かに映画は継承物語の文脈を獲得しベタなりの強度を纏い出す。パーティ急襲シーンは本篇の佳境だ。(cinemascape)