男の痰壺

映画の感想中心です

空飛ぶタイヤ

★★★★ 2018年6月22日(土) 大阪ステーションシティシネマ
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池井戸潤の小説は読んだことがない。
TVで「半沢直樹」や「下町ロケット」も見たことがない。
家にいると家族が見ていたから、まったく見なかったわけではないが、全然ちゃんと見ていない。
正直、見え透いている感と胡散臭い感を、思い込みで感じていたのであった。
 
で、本作ですが
…面白かったっす。
 
下町の零細運送会社と超大企業の斗い。
まあ、よくあるパターンっす。
で、零細側が長瀬智也で大企業側が岸部一徳
さもありなんな配役。
そして、企業サイドの善意代行がディーン・フジオカ高橋一生
うーん、まったく食指が動きません。
 
ただ、このドラマ、零細VS大企業の戦いと均質に企業内の覇権闘争と財閥グループ内での駆け引きを取り込んだことで、ずいぶんと視野が拡張していると思う。
デイーンと一生ってのが感情むき出し演技が不得手で気障なポーズで終始するのが大企業体質を十全に表象して秀逸であるとさえ思える。
 
実際の事件がモデルらしいので「三菱自動車」と「三菱東京UFJ銀行」がモデルということなんだろう。
このクラスの企業には、この程度の自浄機能が残っていてくれないとホント困ると思うわ。
 
巨大企業VS零細企業の図式に留まらず零細の内部分裂と巨大内部での統御崩壊を落とし込んで単視眼な企業講談に陥ることを免れてる。更に財閥系銀行の冷徹なグループ間統治も適宜。関心圏外なディーンと一生の気障ったらしい唐変木演技も本質を衝く。(cinemascape)