男の痰壺

映画の感想中心です

地下室のメロディー

★★★ 2019年5月12日(日) プラネットスタジオプラス1
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冒頭、刑務所を出所したジャン・ギャバンが列車に乗ると、まわりの乗客がみんなバカンスの話をしている。
黙って聞いていたギャバンがひとりごつ。
「うーむ…バカンス旅行が大はやりらしい」
自宅のある街に着くと、再開発で団地が立ち並び景観が変わって自分の家がみつけられない。
 
この導入は、時代と環境を的確にとらえて素晴らしい。
期待が高まるのであった。
 
が、しかし、肝心のカンヌへ行ってからは単線構造で、はっきり言って面白味は激減した。
カジノの売り上げを強奪する。
っていうコンセプトは、当時は知らんが、もはややりつくされた感がある。
しかも、その計画は、めっちゃ単純。
だいたい、換気ダクトの図面を手に入れた段階で「成功したも同然だぜ」なんだからねえ。
 
仲間に呼んだ若僧のアラン・ドロンが又、全然たいしたことない野郎です。
時間にルーズだし、頭の中からっぽめいていて、ギャバンも信頼してる風ではない。
「とりあえず、楽屋に自由に出入りできるように女を手なずけろ」
がミッションで、そのスケコマシ過程に相当な時間が費やされる。
 
で、決行の日、そのアホな若僧に何もかもやらせて、ギャバンは車の中で苦み走って待ってるだけかよ。
思わず、お前も働けよ!って思ってしまいました。
 
有名なラストも、手前でプールの中に入れてやんの。
そりゃそうなるわな…って思ってしまいました。
 
ダクトを這い進むだけがミッション要件では耐年性は無い。スター競演といっても互いに信頼もクソもないのでバディ感皆無でスケコマシ任務に勤しむドロンに対して苦み走り待つだけのギャバンは交錯しない。買えるのは世相を反映する冒頭からの30分。(cinemascape)