男の痰壺

映画の感想中心です

ブレイクアウト

★★ 1976年3月20日(土) 伊丹グリーン劇場
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ブロンソン主演でテキトーに筋あつらえてソッコーで1本臭が滲み出ており、展開の場当たりさが突き抜ければ味と化するのだろうが、その領域には達していない。キャラも生煮え硬軟半ばの半熟卵のようなもんだし相変わらずのジル起用も苦笑うしかない。(cinemascape)

ブルックリン

★★★★ 2016年7月11日(月) TOHOシネマズ梅田6
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棄てた故国が十全な幸せを放逐して尚彼女の心を捉えるには描き方が足りぬとも思うが女心と何とかなのだと納得する。所詮男は女が本当は何考えてるかなんて解らん。一時の気の迷いも何十年か経ち淡い想い出と化するだろう。そういう醒めた幸福感に充ちている。(cinemascape)

愚行録

★★★ 2017年2月18日(土) 大阪ステーションシティシネマ11

大学の学内ヒエラルキーなど見えるやつには見えるが関心がなければ見えない。
上昇志向からそういうものに囚われた人々を描くのはいい。
しかし、それを相対化させる一般の人々がこの映画の中には存在しない。
そこが、ものすごく気持ち悪い。
 
胸糞悪い連中を殺す…のは、まあ良しとしても、その気持ち悪さを、映画はもうひとつの要因で上塗りする。
そこには、物語を有機連鎖させる手管が不足している。
ただ、愚行の事象が並列配置されただけだ。
 
新人監督の作品だが、画面つなぎに高度に意識的な石川慶という名は記憶に値するだろう。
 
学内ヒエラルキーに囚われた人々を描くが相対化させる一般人が不在で気持ち悪い。胸糞悪い連中を殺すのは良しとしても、その気持ち悪さを映画はもうひとつの要因で上塗りし物語は有機連鎖しない。愚行の事象が並列配置されただけだ。画面繋ぎは高度に意識的。(cinemascape)

ゴールド・ボーイ

★★★★★ 2024年3月25日(月) MOVIXあまがさき8

金子修介の映画をそんなに多く見てるわけでもないが、それでも敢えて最高傑作と言いたくなる出来で、世評は高いようだが話半分やろと思い、まあそこそこ程度くらいは行ってくれるんかいな、との何様な俺の予見の遥か上空を軽々と飛び越えて行った。 詰めの甘さが如何ともし難い日本映画のこの手のジャンルで初めてアジアの映画列強に伍する手応えを達成した作品じゃなかろうか。 それが、中堅・若手のフィルムメイカーではなく、最早ピークアウト(失礼)したかと思えたロートル金子の手によって為されたことがうれしい驚きです。

 

【以下ネタバレです】

予告篇の印象からはジュブナイルな犯罪ものを予感させるが、映画の後半から最恐パラノイア同士のガチ対決の様相を帯びてくる。 昨年、同じような謳い文句の「怪物の木こり」ってのがあったが、三池にしてこの程度かという理屈づけや性善性が失望させるものだった。 本作ではパラノイアの出所由来など不要なものは一切描かれない。 原作は中国の小説らしいが、やっぱ大陸的なメンタリティは日本の叙情性なんてのとは正反なんだろう。

 

演出の冴えはキメのショットの決定的な出来として現れる。

①「お前なに?」 岡田将生羽村仁成の対峙

② 岡田の家に最後に向かう3人と振り返る星乃あんな

③ラストショットの羽村と遠景で飛ぶ軍用機

この3つのショットだけでご飯3杯いけそうな素晴らしさだった。

北野映画から離れた柳島克己の力量もあると思うが金子のセンスが最高のパートナーを得た結実だろう。 このタッグで何作か見たいと思わせる。

 

kenironkun.hatenablog.com

ジャン=ポール・ベルモンドの 恐怖に襲われた街

★★★★ 1976年9月5日(日)  伊丹グリーン劇場
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アメリカ製ポリスアクションに一歩も引けを取らない活劇の連鎖。飄々とスタントをこなすスターベルモンドが醸す余裕とユーモア。朴念仁的相棒デネとのコンンビネーションの味わい。それらを統べるベルヌイユの演出の冷徹に随所で痺れる。(cinemascape)

パンと裏通り

★★★ 2017年2月18日(土) シネヌーヴォ
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タイトルバックがビートルズ(オブラディオブラダ)?
っていうかイージーリスニング使用ってことなんやろう。
そういう、手近のもんで済ませた、まあ習作ですわ。
 
俺も子供のころに、犬に追っかけらえてトラウマになりました。
この子は、あんなにおっかながってたのに犬が尻尾振ると結構すぐに馴れ合うんです。
ちょっとそんなんウソや思いました。
 
呻りも牙を剥きもせぬワンちゃんにビビりまくる坊ちゃん可愛いやの煽情性は無いと思うのだが、一方で何の批評性も無いし技巧への若気の至り的渇望も無い。あるのは人気のない路地裏の日常からの隔絶感と静謐。イージーリスニング使用のタイトルバックが安い。(cinemascape)

大地震

★★★ 1975年1月6日(日)  OS劇場
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サバイブするドラマにまでは仕切れず翻弄されるのみの群像劇であるが、主役ヘストンが無為な抗災キャラに徹し切れないのがどうしたって弱い。白昼の災厄を描くハリウッド版ミニチュア特撮は正直、東宝版を凌駕する出来でガセなセンサラウンドも許せる。 (cinemascape)