男の痰壺

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ゴールド・ボーイ

★★★★★ 2024年3月25日(月) MOVIXあまがさき8

金子修介の映画をそんなに多く見てるわけでもないが、それでも敢えて最高傑作と言いたくなる出来で、世評は高いようだが話半分やろと思い、まあそこそこ程度くらいは行ってくれるんかいな、との何様な俺の予見の遥か上空を軽々と飛び越えて行った。 詰めの甘さが如何ともし難い日本映画のこの手のジャンルで初めてアジアの映画列強に伍する手応えを達成した作品じゃなかろうか。 それが、中堅・若手のフィルムメイカーではなく、最早ピークアウト(失礼)したかと思えたロートル金子の手によって為されたことがうれしい驚きです。

 

【以下ネタバレです】

予告篇の印象からはジュブナイルな犯罪ものを予感させるが、映画の後半から最恐パラノイア同士のガチ対決の様相を帯びてくる。 昨年、同じような謳い文句の「怪物の木こり」ってのがあったが、三池にしてこの程度かという理屈づけや性善性が失望させるものだった。 本作ではパラノイアの出所由来など不要なものは一切描かれない。 原作は中国の小説らしいが、やっぱ大陸的なメンタリティは日本の叙情性なんてのとは正反なんだろう。

 

演出の冴えはキメのショットの決定的な出来として現れる。

①「お前なに?」 岡田将生羽村仁成の対峙

② 岡田の家に最後に向かう3人と振り返る星乃あんな

③ラストショットの羽村と遠景で飛ぶ軍用機

この3つのショットだけでご飯3杯いけそうな素晴らしさだった。

北野映画から離れた柳島克己の力量もあると思うが金子のセンスが最高のパートナーを得た結実だろう。 このタッグで何作か見たいと思わせる。

 

物語の構成・演者・撮影とハイブローな技量が伍するにしても演出の強度を維持するは容易ではない。緩める度量と適宜に締める緩急がベテランらしい金子の匠技。ここぞの決まり方には陶然とする。パラノイアを描くに来し方など不要。行くとこまで行くだけ。(cinemascape)

 

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