男の痰壺

映画の感想中心です

2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

実録・私設銀座警察

★★★★★ 2016年3月12日(土) 新世界東映 度肝を抜く開巻からコード無視の遣り放題の大饗宴。展開の読めなさも常軌を逸する。特筆されるは深みある撮影と美術で街中でなくドブ川を主舞台とし根城のスナックは裏口しか映さぬ徹底ぶり。陰陽両極を担う渡瀬と梅宮…

死刑台のメロディ

★★★★ 1977年10月22日(土) ビック映劇 アジ映画かも知れぬが、事実はどうであれ、反共のスケープゴートになった靴屋と魚屋が7年間の裁判を戦い抜いて自由主義の闘士の如き風貌をたたえる様は感動的で、主演2人は文句無く素晴らしい。 (cinemascape) keniron…

家族はつらいよ2

★★★★ 2017年5月29日(月) 大阪ステーションシティシネマ2 1作目からというより「東京家族」のときから、完成されていた役者間のコラボレーションなので、今さら上手いなあと思うわけでもないのだが、にしても、この概ね何らかの毒を含んだ面子を昭和チッ…

ヴィジット

★★★★ 2016年3月12日(土) 新世界国際 シャマランよお前もかのPOVだが、さすが作劇の妙は腐っても鯛で痛いところ突いてくる。庇護されるべきもの→汚く忌むべきもの→恐れるべきものという2重のモラリズムの転倒が為される様は悪意の真骨頂であろう。超常…

赤ちょうちん

★★★ 1977年6月5日(日) 東梅田シネマ 1981年10月9日(金)~10日(土) 今津文化 引っ越すたびに状況は段々悪くなっていくのだが2人は自覚的でもない。一応のドラマトゥルギーを感じさせる中島丈博のシナリオと否応なく時代のシラケ感を表出してしまう藤田が…

赤ちゃん教育

★★★ 2017年5月20日(土) プラネットスタジオプラス1 確かに尻尾の先までアンコ詰まってます感はある。 でも、そのアンコがなんとなく干からびてパサパサなんですわ。 詰まってるのにパサパサってのはきついです。 恐竜のレア化石に豹ってのが、とんでもな…

ララミーから来た男

★★★ 2016年3月26日(土)プラネットスタジオプラス1 原『大いなる西部』とも言えるクリスプとケネディの関係性の通り一遍ではない悲劇味が全てで、その緻密な積年性の前ではスチュワートの復讐譚はエモーション希薄だ。言うたら歪な劇構成であり、そういう…

バニシング・ポイント

★★★★ 1977年6月19日(日) 伊丹グリーン劇場 1979年10月10日(水) 伊丹ローズ劇場 15時間の時制を解体した暗喩が破滅への疾走だけを執拗且つ強固に反復することにより絶対映画の純度を獲得。その強度が明確なので大過去の陳腐も意味不明の寄り道もどうでもい…

メッセージ

★★★★ 2017年5月21日(日) MOVIXあまがさき4 前作「ボーダーライン」もそうだったが物語構築の破綻を強固なシークェンスのアイデアで凌いでる感がある。 本来なら、中盤で中国軍の描写が内部に一切迫らずにいるのに、終盤でひっくり返すのは禁じ手に近…

女が眠る時

★★★★ 2016年3月22日(火) 梅田ブルク7シアター5 剣呑なド変態を盗視するインテリなプチ変態という図式が乱歩チックであり、それがジャパネスク淫靡なアプローチでなく平凡な日本の景観を大陸の感性で濾過した世界で繰り広げられ倒錯的にエキサイティング…

がんばれ!ベアーズ

★★★ 1977年7月31日(日) 伊丹グリーン劇場 実際にそれなりの球を投げるテータムのクールなリアリズムが全般ゆるい作劇を辛うじて随所で引き締めるのだが、それがなけりゃどうということもない児童映画だ。ルーティーンどっぷりの役柄を新味なく演じるマッソー…

悪太郎

★★★★ 2017年5月20日(土) シネヌーヴォ 「けんかえれじい」との類似による物足りなさは感じなかった。 多分、覚えていないからだろう。 不良ということだが、、彼の言ってることは正しい。 時代が正しくなかったということで、そのへん描き方は芯が通ってい…

無伴奏

★★★★ 2016年3月26日(土) 大阪ステーションシティシネマ11 結局はこの顛末が主人公に何かをもたらしたわけでも無さそうで、寧ろ無いことが成海璃子のノーブル且つ無頓着演技で際立つのが清々しい。自己愛に浸りたいところを回避し得ている。大騒ぎの片隅…

あにいもうと

★★★★ 1977年4月6日(水) 伊丹ローズ劇場 昭和初期の設定を70年代に強引に移植したら兄妹の確執は一層の生々しさを獲得した。草刈が秋吉に牛乳を吹きかけるシテュエーションが白眉。ラストの秋吉久美子は正に独壇場で女優賞も無碍なるかなである。 (cinemasc…

パーソナル・ショッパー

★★★★★ 2017年5月18日(木) 大阪ステーションシティシネマ5 概要だけを語るなら完璧なB級ホラー。 …なのだが、語り口がとんでもなく蠱惑的。 オリヴィエ・アサイヤス。 初見だが、こういう語り口の職人とは思わなかった。 中盤で主人公に登録なしの誰かから…

カンバセーション 盗聴

★★★ 2016年3月27日(日) プラネットスタジオプラス1 匿名性に固執する孤独キャラは良いのだがサックス吹いたり柄じゃない違和感。ポランスキー&ヒッチ風味で作風を一気に変えたコッポラだがアントニオーニに行き着く手前で息切れした。世界が卑小で冒頭…

マイ・ラブ

★★★★ 1977年12月11日(日) 元映 目眩くような歴史の変遷と時代に翻弄される人々をケラー3役とデネ2役のトリッキーで冴えたアイデアと時代ごとのポップスで紡ぐルルーシュの一大転換点となった中期の傑作。後の弛緩した『愛と哀しみのボレロ』の原点とも言え…

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス

★★★ 2017年5月15日(月) 梅田ブルク7シアター2 アライグマの含蓄が半端ない域に達してきて、それだけで楽しい。 しかし、一方で主役の兄ちゃんは何だか影うすい。 そりゃ、父親と息子の関係が主旋律だから、彼はあくまで主人公なのだが、多分こう思ってる…

あやしい彼女

★★★★ 2016年4月3日(日)大阪ステーションシティシネマ2 所詮は小娘のお婆ちゃん芸と高を括った観客を一気にかっさらうモールでの母息子とのやり取り。演出は映画以前でコクも何もない凡庸さなのだが、仕掛けられた催涙爆弾が峻烈でそれを茶番に終わらせな…

アメリカン・グラフィティ

★★★★ 1977年7月24日(日) 元映 夜通し光り煌めくローカルタウンはルーカス流『ラスト・ショー』への返歌だったのだろうか。最後の馬鹿騒ぎに繰り出す4人の幼馴染みは実は全くつるまない。わけてもドレイファスの孤独で切ない彷徨はこの映画の肝であった。(ci…

3月のライオン 後編

★★★★ 2017年5月7日(日) MOVIXあまがさき7 クライマックスの後藤との対局に於いて、非ビジュアルな棋板の逆転劇を演出するのに小細工を弄せず斜角構図1本で押し切ったのに好感を持った。 唐突なイジメ挿話の投入が如何にも展開の為にする感濃厚なわ…

蜜のあわれ

★★★★★ 2016年4月4日(月) 梅田ブルグ7シアター5 年寄りの妄想与太話に真摯に取り組んだ結果、キッチュと高尚のレトロモダンな絶妙ブレンド世界が現出。トーマス・マンを眼下に見下ろし飛び越えた世界で変態性も無我の境地に至る。死の気配が漂う金沢の街…

007/ダイヤモンドは永遠に

★★ 1975年8月10日(日) 伊丹グリーン劇場 荒唐無稽に走りすぎて愛想を尽かされ、レーゼンビー起用で更に愛想を尽かされた後の本作。コネリー復帰したが半端な余裕綽々も侘びしく正にシリーズ斜陽の末後感。カースタントとコケティッシュなジル・セント・ジョ…

ある戦慄

★★★ 2017年5月6日(土) プラネットスタジオプラス1 ことが始まる前にご丁寧に登場人物たちを紹介し、件の車両に順次乗り込む。 そして、ことは起こった…。 実に正しく律儀に正統派パニック映画の筆法だ。 確かに戦慄を描いたものであるが、凶事に遭って崩…

クリムゾン・ピーク

★★★ 2016年4月9日(土) 新世界国際 『レベッカ』ベースな古典怪奇譚を贅を尽くした意匠を纏わせ心ゆくまで磨き上げたかったのだろうが内実が凡庸で単なる虚仮威しで終わってしまった。地下貯水槽や赤土採掘機といった魅力的で大がかりな装置がてんで活かさ…

悪魔の手毬唄

★★★★★ 1977年4月6日(水) 伊丹ローズ劇場 1977年6月13日(月) 伊丹ローズ劇場 1982年12月21日(火) 新世界座 囁き声で語られる伝承・噂などの毀誉褒貶が地方村落体の本質を衝き恩讐の果ての事件を語るに絶妙。キーマン方庵のフィーチャーこそ肝でアバンタイトル…

カフェ・ソサエティ

★★★ 2017年5月6日(土) 大阪ステーションシティシネマ6 ずーっと熱心なアレン信者であったわけではない。 多分、3本のスカヨハ時代から欠かさぬ感じになった。 現在、エマ・ストーンも2作登用してるが高打率だ。 これらの5本に共通するのは、一種の批評…

リップ・ヴァン・ウィンクルの花嫁

★★★★★ 2016年4月9日(土) 梅田ブルグ7シアター7 現実の世の中の彼女たちには綾野剛が手を差し伸べてくれることはないのだが、そこまで岩井が呑んで含めた仮想王国を揺蕩うように黒木は乗り越えていく。随所に片鱗が差し込まれる疲弊し腐った現実。それを…

津軽じょんがら節

★★★ 1977年6月13日(月) 伊丹ローズ劇場 後に『祭りの準備』で熟成される中島の都市と対置する地方論が、現代やくざの土俗との邂逅という虚構の中で未だ生硬。ルルーシュかぶれの都会派映像主義者斉藤の思い込み映像は、それでもアンビバレントな虚仮の一心と…

フリー・ファイヤー

★★★★★ 2017年5月6日(土) 大阪ステーションシティシネマ7 ドンパチが始まってからドンパチが終わるまで…だけの話。 舞台はだだっ広い廃工場の中のみ。 まあ、これをして、なめとんのか!とする向きと、ようそんだけでもたせたよネ♥とする向きがあります。 …