男の痰壺

映画の感想中心です

家族はつらいよ2

★★★★ 2017年5月29日(月) 大阪ステーションシティシネマ
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1作目からというより「東京家族」のときから、完成されていた役者間のコラボレーションなので、今さら上手いなあと思うわけでもないのだが、にしても、この概ね何らかの毒を含んだ面子を昭和チック優等生家族に仕立て上げる山田の剛腕はやはり大したもんだ。
 
横尾のタイトルデザインにせよ、久石の音楽にせよ、前作からの続投なのだが、新しい血流で作品を活性化させるのに十二分に加担している。
 
シニアドライバー問題と独居老人問題が取り上げられた。
シリーズの2作目以降で懸案の社会問題を取り上げるのは「男はつらいよ」や「学校」でも見られたことだが、ジャーナリスティックな感性は鈍ってないと思う。
ただ、たとえば今年の問題作「ダニエル・ブレイク」あたりに比べて、いかにも情緒多寡でクールネスが無いのだ。
まあ、それが山田洋次の美点なのだが…。
 
終盤、端折った感もぬぐえないのだが、
深刻なことこそ笑い飛ばせ!…この提言はかみしめていきたい。
 
この概ね毒含みの面子を昭和チック優等生家族に仕立て上げる山田の剛腕。ジャーナリスティックな視座も鈍ってないと思うが情緒過多だ。まあそこが美点でもあり【稔侍】の部屋こそ白眉。終盤、端折った感も拭えぬが深刻なことこそ笑い飛ばせ!はその通り。(cinemascape)