★★★ 2019年7月29日(月) シネリーブル梅田4
ルネ・クレール晩年の作品だが、なんやろか、ついていけんなと思った。
ろくでなし男の善意と、それを裏切る現実なのではあるが、その仮借ない描き方がサディスティックであるし、それを一方で尊きもののように描くクレールが何かイヤらしい。
そもそもに、ほんとにダメ男であるし、あの小娘も痛い目にあったらええねんという世界であって、心の寄せどころがないのである。
窮鼠猫を噛むの顛末もなんだかなーの展開であった。
セット美術が素晴らしい。
個々の建物の建てつけもだが、その相互の位置関係の立体感も、かなりドキドキする出来栄えである。
男たちの共生体はモノクロも相まって、カウリスマキの「ラ・ヴィ・ド・ボエーム」を思い出してしまった。
押しの強いクソ野郎に対し愚鈍なお人好しは為す術もないという展開を延々見せられて、小ネタのギャグさえうそ寒い。終盤に俄かに失恋と義憤がない混ぜで発露するが自覚も覚束ないので置いてけぼりを喰らう。セット美術の立体感と配置など素晴らしいのだが。(cinemascape)