男の痰壺

映画の感想中心です

愛と青春の旅だち

★★★ 2020年5月31日(日) 大阪ステーションシティシネマ

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玉の輿を狙って士官学校の若いのをたぶらかそうとする女の話で、私は違うのと言ったりするが結局はそういうことなのである。

80年代初頭の映画だが、70年代の終わりには「結婚しない女」や「ミスターグッドバーを探して」のような女性の自立ムーブメントがあったことを考えると物凄い後退ぶりっす。

 

全体的に、心理の変化というものを描くことに驚くほど無頓着で、優しい観客たちよそのへん補完しながら見てちょんまげの甘さがどーかと思った。

 

フィリピンの娼館入り浸りのクソ親父のもとで少年期を過ごした主人公は、ある日突然、パイロットになると親父のもとを去るが、パイロットへの憧れや親父への反撥など全く描かれてないので唐突。

知り合った女とねんごろになったけど、結婚する気さらさらありませんよと釘をさす。このポリシーはかなりに強固らしくって愈々の土壇場でもつれなくされた女は諦めます。男がなぜに結婚望まないかの心理も不明なら最後になって心変わりする経緯も謎である。

 

がしかしであります。

夢も希望もない段ボール工場での日常に寂しくも舞い戻った女。そこに、晴れて卒業し航空士官となったリチャード・ギアがかっちょいい白い軍服に身を包み登場。キター!であります。女に歩み寄り怪訝な表情の彼女をお姫様抱っこ。そして連れ去った。周りのみんなは呆気にとられ、でもヤンヤの喝采を贈ります。

恥も外聞もない白馬の王子様願望のど真ん中からの具現化であり、これで世の女性たちは全てのモヤモヤをすっ飛ばしハートを鷲づかみされる、多分。いや、俺も少し鷲づかまれたかも。

凄い、凄すぎて負けた。

 

何故パイロットを志したかとか変節し結婚に踏み切ったかとかの心理の動きは描かれず士官学校の養成課程も付け焼き刃めく。そういう論理的整合の甘さは床相性の良さの納得がカバーし白制服の彼がお姫様抱っこで奪い去るの1点突破が粉砕。唖然とするしかない。(cinemascape)

 

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