男の痰壺

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なぜ日本は焼き尽くされたのか 米空軍幹部が語った真相

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数年前に放映されたNHKのドキュメンタリーらしいが、再放送されたものをたまたま録画してあって何気なしに見始めたら見入ってしまった。

 

第二次大戦末期、女・子ども・年寄りしか残されていない銃後の都市を何万発の焼夷弾で焼き尽くす。四方八方から火炎旋風が迫る焦熱地獄で彼ら彼女らは逃げ場もなく焼かれて悶え死んだ。鬼畜の蛮行であり許しがたい戦争犯罪だ。

というのが、東京大空襲について日本人が語る際のベンチマークだろう。むしろそういった視座しか許されない、そこを避けて下手うったら人非人とか言われそう。

 

しかし、このドキュメンタリーは一切日本側からの見方を排しております。徹頭徹尾アメリカサイドからしか描いていません。日本人が制作したにもかかわらずです。

ああ、やっと日本にもこういう作品の作り手が現れたんだなと思いました。情緒的メンタリティではなく、合理的思考による事の真理の追及。しかもおそらく凄まじい量のデータの掘り起こしと検証がなされている。

この作品で描かれていることは、俺の無学もあるんでしょうが見たことも聞いたこともないようなことばかりであった。

 

戦争という状況下、国体レベルでの被害者は同時に概ね加害者でもあるわけです。

当時の米軍指揮官の述懐で、空襲下、瓦礫の下で苦しみながら死んでいく幼い少女をイメージしなかったわけではない、ということばがある。でも、それを振り切り殺戮に手を染めるのが戦争だ。

そういった理解はビショビショの情緒に塗れてるうちは適わないと思うのです。