男の痰壺

映画の感想中心です

脅迫

★★★ 2020年8月9日(月) 新世界東映

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「脅迫」と書いて「おどし」と読ませます。

 

サラリーマン一家に逃亡犯が押し入り、家族を人質に亭主にあれやこれや指示する。

ワイラー「必死の逃亡者」が先鞭をつけたこの設定は昨今に至るまで多くの変奏作を産んでいるが、これもその1本なんでしょう。

 

本作のオリジナリティは、逃亡犯は一家に押し入る前に幼児誘拐をやらかしており、亭主は人質になった女房子供の為に、身代金奪取の片棒を担がされる。

まあ、オリジナリティと言ったけど、押し入りと誘拐という犯罪映画のモチーフを合わせただけとも言える。

 

この映画を見てて、どうにも煮えきらない感じがつきまとうのが、亭主を演じた三國の存在で、この人何やっても腹に一物あるように見えてしまう。

中盤で、春川ますみの女房と逃亡犯の1人室田が2人っきりで家に残される。豊満な春川に室田がムラムラきてあわや襲われそうになったその時、主犯西村晃と三國が帰宅、西村が室田をバチコーンはいいんだけど、三國も女房をバチコーンであります。駆け寄り「大丈夫か」「あなた〜怖かった」ひっしと抱き合う2人ってのが普通でしょう。

その後、別室で2人になった夫婦。今度は三國がムラムラきて迫る。そんな気分にならないと拒否するますみ。やはりここは、「さっきは悪かった、大丈夫か」とかの一言が要るんじゃないか。三國の異常もあるが、深作のマチズモの衒いない表出でもある。時代もあったと思いますけど。

 

終盤は三國と逃亡犯たちとの個の対決に収斂していく。お約束どおりですが。

ここでも身代金を手にした三國がバイパス架橋から出たり入ったりのヤーイここまでおいでベロベロバー的演出の異様さが歪である。人質になってる女房子供はええんかいなと思います。

 

そういう深作演出の論理的整合のなさが全篇随所で顔を出す。そこがオモロイと言えばそうなんですけど。